古谷 祐詞
(准教授) FURUTANI, Yuji
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赤外差スペクトル法による膜タンパク質の キーワード:赤外分光法、膜タンパク質、イオンチャネル、トランスポーター
1999年京都大学理学部卒業、2001年同大学大学院理学研究科修士、2004年博士課程修了、博士(理学) 2003-2005年学術振興会特別研究員、2006-2008年名古屋工業大学大学院工学研究科助手、助教を経て、2009年3月より現職。
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界面を隔てた情報伝達と物質輸送を実現する膜タンパク質
細胞膜には、外界からの刺激に応答するためのセルセンサーや恒常性維持に重要なチャネル、トランスポーター等の膜タンパク質が存在します。これらは外界からの情報や物質を細胞内に伝達したり、異物を細胞外に排除したり、膜電位やプロトン濃度勾配を形成し、ATPなどのエネルギー物質を生産したりするなど、細胞の生存に欠かせない精巧な分子機械としてはたらいています。
このような膜タンパク質が機能発現する分子メカニズムの解明には、基質や補酵素となるイオンや分子との相互作用に関する原子レベルでの構造情報が必要です。一般的に膜貫通タンパク質の構造解析は難しく、Protein Data Bankへの登録比率は約2%にすぎません。また、得られた構造についても水素原子が見えないため、イオンの配位構造や分子内、分子間水素結合構造などの情報が不足しています。このような機能発現に重要な役割を果たす部分構造を、赤外差スペクトル法を活用することで明らかにし、膜貫通タンパク質の機能発現機構に迫ることを目的に研究を進めています。
基質結合に伴う赤外差スペクトルの計測
赤外差スペクトル法はロドプシンや光合成タンパク質などの光受容タンパク質では盛んに研究が行われ、その分子メカニズムの解明に大いに役立てられています。私自身も前任地である名古屋工業大学において古細菌型ロドプシンに対する研究を行い、光駆動プロトンポンプに重要な役割を果たす強い水素結合を形成した水分子を見いだしたり、1) 光センサー機能のスイッチとしてはたらくレチナール-スレオニン残基間の相互作用変化を明らかにしたりしました。2) また、全反射赤外分光法により、光ではなく、基質結合による赤外差スペクトルを計測することで、塩化物イオン結合に伴うアスパラギン酸のプロトン化を検出しました3。この手法は、KcsAなどのイオンチャネル、V型ATPase4)などのトランスポーターにも適用できる手法です。さらに、ケージド化合物やストップトフロー法、連続混合法などを活用することでマイクロ秒程度の時間分解計測を目指し、X線結晶構造からは見えてこない膜タンパク質のダイナミックな分子実態に迫りたいと考えています。
(上)V型ATPaseの構造模式図とKリングの結晶構造。
(下)赤外分光法で明らかとなったKリングのNa+イオン脱着に伴う構造変化。E139がNa+結合に伴い脱プロトン化する。
■参考文献
- Y. Furutani, M. Shibata and H. Kandori, “Strongly Hydrogen-Bonded Water Molecules in the Schiff Base Region of Rhodopsins”, Photochem. Photobiol. Sci. 4, 661-6 (2005)
- Y. Sudo, Y. Furutani, J. L. Spudich and H. Kandori, “Early Photocycle Structural Changes in a Bacteriorhodopsin Mutant Engineered to Transmit Photosensory Signals”, J. Biol. Chem. 282, 15550-8 (2007)
- Y. Kitade, Y. Furutani, N. Kamo and H. Kandori, “Proton Release Group of pharaonis Phoborhodopsin Revealed by ATR-FTIR Spectroscopy”, Biochemistry 48,1596-1603 (2009)
- Y. Furutani, T. Murata and H. Kandori, “Sodium or Lithium Ion-Binding-Induced Structural Changes in the K-ring of V-ATPase from Enterococcus hirae Revealed by ATR-FTIR Spectroscopy”, J. Am. Chem. Soc. 133, 2860-3 (2011)












