実際の分子は空間を飛行し、回転し、振動しています。室温の条件でも、典型的な分子で1秒間に300m飛び回り、1011回も回転し、振動は1012~1013回に達します。本研究グループは、このような分子の運動を自在に操作するという分子科学の1つの夢を、レーザーに代表される様々なアイテムを活用して実現しようと目指しています。具体的には、①回転や振動と同程度の時間スケールの極短光パルスを用いて「瞬間的に」分子に撃力を加え、分子の運動を励起・制御する、②周波数分解能が高いパルス光によって特定の振動・回転量子状態へ分布を完全に移動する、などの方法論の開発を進めています。このように、時間とエネルギーという相補的な領域で極限的な性能を持つ「光」を組み合わせて利用する、世界的に見てもユニークなアプローチが特徴です。
高強度の極短パルスレーザーによりNO分子の回転を励起した実験結果と、対応する運動状態の模式図。