太陽光が地上に届いたときには、大気中の分子との相互作用の大きな極端紫外光(紫外線より波長が短く、X線よりは波長が長い)成分はなくなっています。このように極端紫外光は分子の光科学研究に不可欠な波長の光であり、地上では真空中で人工的に作り出す必要があります。分子科学研究所では、昭和58年にシンクロトロン放射の原理に従う円形加速器を建設して、分子科学研究に利用しています。平成15年に加速器を大改造し、20年を越えた現在も小型の放射光源施設として世界トップの高輝度性を誇っています。最近、その高輝度特性を活かして、他に先駆けて次世代型軟X線分光器の開発にも成功しています。UVSORという愛称で世界の研究者によく知られた先端施設です。

化学のフロンティアである「分子スケールナノサイエンス」を集中的に研究推進するセンターとして2002年に発足しました。1つの専任部門、2つの併任部門から構成されており、新規分子・ナノ構造体の作成から、特異な化学反応や物理化学的性質を体系的に研究する組織になっています。世界最高性能を誇る920MHz核磁気共鳴(NMR)装置を共同利用に供している他、19年度より始まったナノテクノロジーネットワークプロジェクトを担当し、多くのナノサイエンス関連支援プログラムを提供しています。
本センターは、光分子科学研究領域との連携のもとに、分子科学の新分野を切り拓くための装置、方法論の開発研究を行なう施設です。新たに開発される装置や方法論は、所内外の分子科学者との先端的な共同研究のリソースとして提供される予定です。主な開発研究分野としては、(1)テラヘルツから軟X線にいたる先端光源の開発、(2)高出力超短パルスレーザーを用いた量子制御法の開発、(3)高分解能光イメージングとナノ領域顕微分光法の開発などが挙げられます。また、本センターは理化学研究所との連携融合事業であるエクストリームフォトニクスの中核センターとしての役割を果たしています。
機器センターは分子スケールナノサイエンスセンターと分子制御レーザー開発研究センターの汎用機器を統合して、平成19年4月に新たに発足しました。機器センターでの主たる汎用機器は山手地区のNMR、質量分析装置、粉末X線回折装置、明大寺地区のESR、SQUID磁束計、X線回折装置(粉末、単結晶)、希釈冷凍機、蛍光分光装置、紫外可視近赤外分光装置、円二色性分光装置などです。共同利用の形態は施設利用が主ですが、レーザーと上記の汎用機器を組み合わせた特殊仕様の実験も支援する予定です。この他、山手地区と明大寺地区にある液体ヘリウム液化装置や液体窒素貯蔵槽を用いて、液体ヘリウム・液体窒素の供給を行っています。また、平成19年4月に発足した化学系研究設備有効活用ネットワークの汎用機器の共同利用も支援します。
装置開発室では、分子科学研究に必要な実験装置を、所内外の研究者との協力によって、研究開発を進めています。施設内には実験装置の開発・製作のための、機械、エレクトロニクス、ガラス加工などの設備が配置され、分子科学研究所創設当初から研究者と共に様々な実験装置の開発によって高度な装置開発技術を蓄積し、分子科学の新たな研究に向けて支援しています。このように開発技術者と研究者との密接な対話により、独創的実験のできる研究環境を整備することを使命としています。
我が国唯一の分子科学計算のための共同利用基盤センターとして、先導的な学術研究の発信はもとより岡崎地区の3研究所と全国の分子科学とバイオサイエンスの研究者に対して大学等では不可能な大規模計算を実行できるハード環境と様々なプログラムソフトを提供しています。平成18年度導入の「超高速分子シミュレータ」に加え、平成19年度はさらに「高性能分子シミュレータ」を導入し、格段に大規模な計算が実行できる環境を提供します。
本センターは、分子科学、基礎生物科学、生理科学などの学際領域にまたがる諸問題に対し、総合的な観点と方法論を適用、駆使することにより、新しいバイオサイエンスを切り開くことを目的とし、分子研、基生研、生理研の三研究所の共通研究施設として設立されました。分子科学研究所に関連する教員として、教授3名、准教授1名が所属しています。











