分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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[機能性ナノ構造体」の研究者(西信之先生)

新素材として着目されている「グラフェン」という物質の名前を聞いたことがある人も多いと思います。これは、六角形の網目状に結合した炭素原子だけからできており、厚みは炭素原子1個分しかないシート状をした分子です。鉛筆の芯の材料であるグラファイト(黒鉛)は、グラフェンが何層も重なったものといえます。

先生はグラフェンで風船状の「ナノ物質」(ナノは10億分の1を示す)を作り、その風船の中に金属を閉じ込める技術を開発しました。この物質は、電極材料として優れた機能を発揮します。このような、機能性をもったナノ構造体の研究をしています。

もっと詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
http://www.ims.ac.jp/know/material/nishi/nishi.html
ビデオ:http://www.ims.ac.jp/know/bunshi_video.html


これまでに随分いろいろなテーマを研究されていたようですが

理学部の学生のころは、研究者だった父の影響で有機合成をやりたいと思っていました。でも、4年生になったとき、合成の研究室は希望者が多くて、物理化学の研究室を選びました。その研究室では、エレクトロニクス工作もしましたし、修士の学生のころには理論の研究もしていました。その頃、誰もがそんなことはあり得ない、といっていた現象がアメリカの研究者によって論文発表されました。私の研究はその論文の裏付けとなり、タイミング良く着目されました。科学者にとっての世界のひのき舞台に、修士の学生でいきなりデビューでき、幸運でしたね。

東京大学物性研究所から分子研に移って、レーザーを使った光ダイナミクスを研究しました。その後、自然現象そのものである、水の中のいろいろな分子の存在状態を調べました。物質を破片化し、人があまり行っていない手法で調べることにより、面白いことが分かってきました。

“同じもの同士が集まって、安定な集団を形成する”ということが分かったんです。

“類は友を呼ぶ”ということですか?

そういうことですね。それから、数個から数百個の分子の集団であるクラスター構造の研究に力を入れるようになりました。

その頃、サントリーの方から、“水のクラスターについて研究してほしい”との依頼がありました。お酒の熟成にも大いに関係する研究です。研究成果はサントリーの方に大変喜んでいただけました。サントリーの方が書かれたお酒の本がブルーバックスから出ていますが、私の研究成果が紹介されていますね。


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