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理論・計算分子科学研究領域藤田グループ

場所:明大寺キャンパス 南実験棟414号室
Annual Review : こちら

励起子,エネルギー移動・電荷移動,電子状態理論,量子ダイナミクス,有機半導体

分子集合体の光電子物性とダイナミクス

近年のエネルギー問題から、太陽光エネルギーをいかに効率よく収集・利用するかは非常に重要な問題です。電気を流す有機分子―有機半導体の発見以来、様々な分子を使って光エネルギーを収集・制御する試みが行われてきました。代表的なものが有機薄膜太陽電池で、シリコン太陽電池と比べてフレキシブル・低コストといった利点があります。他方、超分子化学の発展や自己組織化の利用により、分子からボトムアップでナノ構造体を作る研究も盛んに行われています。具体的には構造制御を利用した物性・機能のコントロールや、独特な物性を持つソフトマターのデザインが進められています。

多数の有機分子が集積した分子集合体の物性は、孤立分子の物性と比べてどう違っているでしょうか?凝集した多数の分子は分子間相互作用のため協同的に振る舞うことができ、光吸収に伴って集団的な電子励起状態を形成できるようになります。電子励起状態をある種の準粒子―電子と正孔が対になった励起子と考えると、相互作用によって励起子波動関数が分子間に非局在化するともいえます。分子集合体の光物性の特徴としては、J会合体で見られるような吸収スペクトルのレッドシフトや、ある分子から別の分子へ電子励起状態が移動する蛍光共鳴エネルギー移動などがあります。また、分子間距離が近くなって各分子の分子軌道が重なる場合には、電子や正孔が分子間を移動する電荷移動や、励起子が電子と正孔に分かれる電荷分離が起きることもあります。このような分子集積の結果として現れる光電子物性が我々の研究ターゲットです。

当研究室では、分子結晶からソフトマターを含めた様々な分子集合体を研究の対象にして理論的・計算科学的研究を行っています。具体的には分子が多数集積した系の光電子物性やエネルギー移動・電荷移動のダイナミクス、さらにはエネルギー変換機構や構造-物性相関を理解することを目標にしています。


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Fig1:(a) Schematic picture of excitation energy transfer in the chlorosome light-harvesting antenna system. (b)Time-dependent polarization anisotropy.

2018_fujita2.pngFig2:(a) Schematic picture of the exciton in a thin film of p-type organic semiconductor molecules (b)Delocalization length of electron (red) and hole (blue)
wavefunctions and electron-hole separation (green).

参考文献

  1. T. Fujita, J. Huh, S. K. Saikin, J. C. Brookes, A. Aspuru-Guzik, "Theoretical characterization of excitation energy transfer in chlorosome light-harvesting antennae from green sulfur bacteria," Photosynth. Res. 120, 273-289 (2014).
  2. T. Fujita, S. Atahan-Evrenk, N. P. D. Sawaya, A. Aspuru-Guzik, "Coherent Dynamics of Mixed Frenkel and Charge Transfer Excitons in Dinaphtho[2,3-b:2'3'-f] thieno[3,2-b]-thiophene Thin Films: The Importance of Hole Delocalization," J. Phys. Chem. Lett. 7, 1374-1380 (2016).