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物質分子科学研究領域小林グループ

小林グループ_メインイメージ
場所:明大寺キャンパス 南実験棟303号室
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無機固体化学、固体イオニクス、電気化学、エネルギー貯蔵・変換デバイス

次世代電気化学デバイスの 創出に向けた新物質探索

持続可能なエネルギー社会の実現に向け、電気化学反応を利用した蓄電・発電の重要性が高まっています。現在、リチウム二次電池や燃料電池を越える次世代のエネルギーデバイスを目指した研究が盛んにおこなわれていますが、実現には、既存の研究開発と並行して新物質創製に基づいた新規デバイスを開発する試みが必要になります。これまでH+, O2–, Li+, Na+などのイオンを利用した燃料電池や蓄電池の開発が行われてきましたが、新たなイオンを電荷担体とする電極や固体電解質材料が出現すると、全く新しい作動原理をもつエネルギーデバイスの可能性が拓かれます。我々のグループでは、水素のアニオンであるヒドリド(H)に着目し、H導電性を有する固体電解質や電極材料の探索をおこなっています。

一般的に、イオンの動き易さを決める代表的な指標として、価数、大きさ、潰れやすさ(分極率)があり、1価で適度なイオン半径を持ち、分極率の大きなHは高速イオン導電に適しています。また、Hは、二次電池への応用が検討されているMgと同程度の酸化還元電位(Eº = -2.25 V vs. SHE)を有することから、Hを電荷担体に利用し、Hの酸化還元電位を活かした蓄電・発電反応を構築することができれば、高エネルギー密度が得られると期待できます。また、1価のイオンでありならHからH+への二電子反応が可能な唯一のイオンであり、様々な化学反応に応用できる可能性もあります。最近、我々の研究グループでは、HとO2–が結晶格子内に共存する酸水素化物という物質群を対象に物質探索を行い、H導電性の固体電解質として機能する新物質La2-x-ySrx+yLiH1-x+yO3-y(以下LSLHO)の開発に成功しました。さらに、LSLHOを固体電解質に用いることでHを電荷担体とする電池反応を世界に先駆けて見いだし、H導電を利用した電気化学デバイスの開発可能性を示しました。我々は、この研究結果を基に、Hが結晶内を高速で拡散するH超イオン導電体などの新物質の探索やH導電を活用した新型デバイスの開発をおこなうと同時に、Hのイオン導電機構の解明など、H導電体に関する学理を構築する研究に挑んでいきます。


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Crystal structures of La2-x-ySrx+yLiH1-x+yO3-y (x = 0, y = 0, 1, 2). The coordination environment around lithium ions continuously changes with a change in the O/H ratio. The four axial sites of the Li-anion octahedra (anion sites in Li-anion planes perpendicular s-axis) prefer to be occupied by H.

参考文献

  1. G. Kobayashi, Y. Hinuma, S. Matsuoka, A. Watanabe, I. Muhammad, M. Hirayama, M. Yonemura, T. Kamiyama, I. Tanaka and R. Kanno, “Pure H Conduction in Oxyhydrides,” Science 351, 1314-1317 (2016).
  2. G. Kobayashi, Y. Irii, F. Matsumoto, A. Ito, Y. Ohsawa, S. Yamamoto, Y. Cui, J.-Y. Son and Y. Sato, “Improving Cycling Performance of Li[Li0.2Ni0.18Co0.03Mn0.58]O2 through Combination of Al2O3-based Surface Modification and Stepwise Pre-cycling,” J. Power Sources 303, 250-256 (2016).
  3. G. Kobayashi, A. Yamada, S. Nishimura, R. Kanno, Y. Kobayashi, S. Seki, Y. Ohno, H. Miyashiro, “Shift of Redox Potential and Kinetics in Lix(MnyFe1-y)PO4,” J. Power Sources 189(1), 397-401 (2009).
  4. G. Kobayashi, S. Nishimura, M.-S. Park, R. Kanno, M. Yashima, T. Ida and A. Yamada, “Isolation of Solid Solution Phases in Size-Controlled LixFePO4 at Room Temperature,” Adv. Funct. Mater. 19(3), 395-403 (2009).
  5. S. Nishimura, G. Kobayashi, K. Ohoyama, R. Kanno, M. Yashima and A. Yamada, “Experimental visualization of lithium diffusion in LixFePO4,” Nature Mater. 7, 707-711 (2008).