
TOPページ > 見附 孝一郎
物質が光を吸収すると、物質中の原子や分子はエネルギー的に興奮した状態に上げられます。この状態を励起状態といいます。
先生は、このような励起状態にある分子に注目して、主に二つの研究を展開しています。一つは、不安定な高い励起状態から元の安定な分子に戻るときに放出される電子、イオン、光などの粒子を検出して、状態が変化する途中のダイナミクス(動力学)を調べる研究です。もう一つは、色素増感太陽電池の発電メカニズムの研究で、比較的低い励起状態を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換するという過程を調べます。
もっと詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
http://www.ims.ac.jp/know/light/mitsuke/mitsuke.html
http://www.ims.ac.jp/organization/mitsuke_g/
研究者になったのはなぜですか?
中学・高校一貫の学校で理化学部に入っていました。授業が終わると部室に集まってクロマトグラフィー作りやキレート滴定に勤しんでいました。研究者になりたいとの思いはこの頃からありましたね。
研究テーマは一貫していますか?
極端紫外光という短い波長の光を使ったダイナミクスの研究は古くからやっています。20年近く前に岡崎に着任した時には既にUVSOR放射光施設が稼動していましたから、分子研の特徴を生かせる研究として、自分もUVSORの光を使わない手は無いと思っていました。以来、極端紫外光を使ったテーマを長年続けています。
分子研に来る前、大学院生から助手の頃までクラスターの研究をしていました。クラスターは数個から数百個の原子や分子が凝集して形成される集合体です。大学学部の卒業研究を始める際に朽津耕三先生と近藤保先生からクラスターのテーマをいただきました。当時、化学分野ではクラスターの研究をしているところは極めて少なく、先輩の助けや他大学の研究者にまで教えを乞うて、最初は実験装置作りから始めました。“クラスター形成が鍵となる化学反応がある”という先見的なテーマで、最初のデータを得て博士論文に仕上げるまで大変な苦労をしましたが、とてもやりがいのあるものでした。この時の装置作りの経験は、研究者になるトレーニングとして得難いものがあったと思います。即成果が期待される昨今では、ゼロから装置を作るというテーマを学生に課すことはもはや困難になってきているかもしれませんね。