分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

TOPページ > 西 信之

最も気に入っているお仕事は?

水とアルコールが混ざらないことを発見したときです。九州大学にいた頃の仕事ですね。この発見にはとても興奮しました。

水とアルコールは混ざるんじゃないですか!! 水割りとか……

この発見は、純粋な物質を扱ったものです。水にアルコールを加えていって、光を使った測定方法で、水とアルコールの結合を捉えようとしました。でも、学生が持ってきた実験結果をみると、水とアルコールの結合はできてこなかったんです。

水とアルコールなら水素結合ができるのではないですか?

水素結合はできるんですけど、主としてエタノールとエタノールの間でできてしまい、水とはできても寿命が短いですね。水は邪魔ものですよ。

後でよく調べると、1960年代に、水とアルコールが層状になって混じり合わないという論文が出ていました。でも、それは現象の報告だけだったんですね。“なぜ”という理由付けがなかったんです。


今、最もホットな興味は?

グラフェンですね。

最近、グラフェンを使って風船のように膨らませたものが作れるようになりました。小さすぎても大きすぎても性能がでないんですよ。適度な大きさでだけ、ナノ構造体ならではの性能が出るんです。その風船の中に金属を入れてやると、電池の電極材料に適した性能をもつようになるんです。

人が今までやらなかったような方法で、理想的な物質を作る。ある意味で、その作り方なり、化合物というのは永遠に残るわけです。実際に使われようと、使われまいと。そういう物質開発というのが分子科学の一つの使命だと思います。

研究スタイルの特徴は?

私はだいたい5年~10年で研究テーマを変えてきているんです。もちろんそれまでの技術の蓄積を活かせるような形でですが。

一つの分野を“確立する”というスタイルを採る人もいますが、私は、もっといろいろなことを知りたいと思いますし、興味があります。

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