
TOPページ > 西 信之
先生の研究の哲学は?
研究の面白さは“謎解き”です。若い頃は基礎研究だけでしたが、企業の方との研究から、身の回りの重要なことを謎解きする、ということの大切さを感じました。そして、その謎解きの結果を社会に伝えること、役立てることというのも科学者の役目だと考えるようになりました。知的好奇心だけで終わらせてしまっては、それは単なる自己満足だ、ということになると思います。60歳を過ぎてからは、企業の方の役に立てるような研究もするようになりました。最も、規模の小さな研究室ですから、企業のような本格的な応用研究はできません。それは企業がエンジニアリングとして行う研究だと思います。私の役目は、基礎研究と応用研究のかけ橋となるような部分の研究をすることだと考えています。
趣味は?
私の父は、熊野川(和歌山県、三重県、奈良県)の河口近くの出身なんです。上ってゆくと奈良に通じます。九州へ行くと、奈良と同じ地名がたくさんあるのに驚きました。日本人のルーツ、神話として知られている歴史、というのはかなりの部分が事実を背景としていることが様々な研究から明らかになってきているんですね。そういう遺跡などを訪れたりするのが面白いですね。地図で地名を見たりしているだけでも楽しいです。本を読むのも好きですし、神社、山岳信仰といったものも興味深いですね。
(聞き手の感想:さまざまな具体例を聞いていると、趣味とは思えない知識の深さでした。)
西 信之(にし のぶゆき)・教授
1968九州大学理学部化学科卒業 1973年同大学院博士課程修了 同年東京大学物性研究所助手 1979年分子科学研究所助教授 1991年九州大学理学部教授 1996年度分子科学研究所流動研究部門教授・九州大学理学部教授併任 1998年より現職
1991年井上学術賞 1997年日本化学会学術賞 理学博士
聞き手&文:寺内かえで(広報室)、写真&web:原田美幸(広報室)
2010.7up