分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

TOPページ > 斉藤 真司

今、最もホットな興味は?

私の研究対象は水の過冷却、ガラス転移、生体分子、多次元分光法とバラエティーに富んでいるので分かりにくいかもしれませんが、実はとても単純なことなんです。

何がきっかけで分子が動いているんだろうか?
動かされているんだろうか? 
その分子はどう動くんだろうか?

こういうことが知りたいんです。

研究スタイルの特徴は?

私自身は、コンピュータを使ったシミュレーションによって分子の運動を研究しているのですが、シミュレーションっていうのは無理やり計算してやればどんな結果でも出せるんですよ。だから、理論として正しい、ということを実証するためには実験の研究者との協力関係が欠かせないんです。
実験から得るもの、実験へのフィードバック、このような実験家との関係を大切にしていることが特徴でしょうね。
学部の時も、修士の時も、私がいた研究室は、実験と理論の両方の研究室でした。短期間ですが、海外の研究室に滞在したことがあるんですが、その時に行ったところは実験の研究室でした。下請けだけなら問題ですが、実験と理論と区別せずに、一緒に新しいことに挑戦していくのはとてもいいことだと思いますね。

最も気に入っているお仕事は?

固執する気はありませんが、これまでのところは多次元分光学の分野の研究ですね。

簡単にいうと、どういうものですか?

気体の赤外スペクトルというのは線スペクトルなんです。つまり、ピークがはっきりしているんですね。一方、液体のスペクトルというのは、ピークがはっきりせず、だらだらと広がった形をしています。これは分子が運動をしていることによるものだ、ということは直感的には知られていました。実験家の人たちは、そういうイメージを頭の中に持っていたんです。私の研究は、この直感的なものを、式で記述し、分子のレベルで明らかにしたものです。


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