分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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[有機強誘電体」の研究者(藥師 久彌)

物質の中には、外から電場をかけなくても、電気的な分極をする性質をもつ物質があります。このような物質のなかに「強誘電体」があります。この物質の特性を活かした身の回りのものとして、音響機器などに使われている回路素子が知られています。 分子性結晶の中には電気を流す「分子導体」とよばれる物質があり、温度や圧力など環境を変えると超電導や強誘電性など様々な性質を示すようになります。  

先生は、強誘電性など分子導体のもつ様々な状態を調べ、その性質を示す理由を解明する研究をしています。

もっと詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
http://www.ims.ac.jp/know/material/yakushi/yakushi.html


研究者になったのはなぜですか?

理学部の学生のとき、研究は面白いと思いました。それで大学院に進学しました。そしてますます面白いと思うようになりました。そして、たまたま大学に職を得ることができ、研究を仕事とすることができました。もちろん周りの方々のいろいろな応援があってのことです。

今の研究「有機強誘電体」との出会いは?

私は1960年代後半に、東京大学の赤松先生(分子科学研究所の初代所長)の研究室で卒業研究を始めました。赤松先生は、井口先生(分子科学研究所の第3代所長)との共同研究で、1950年頃、無機物質と同様に、半導体的な伝導性を持つ有機物質を発見しました。これが「有機半導体」といわれるものです。そんな成り行きから、私は、研究生活の最初から有機半導体と関係するテーマに関わってきました。  

1980年に有機超伝導という現象が発見されました。それから、15年くらいの間、超伝導を起こす温度を高くする、有機超伝導体の開発競争が続きました。ちょうど10年くらいのところが競争のピークだったと思います。私も、有機超伝導体の研究が流行しているころはその研究をしていました。

その後、金属-絶縁体転移する分子導体を研究しているうちに同じグループの山本助教が新しい型の強誘電体を発見しました。強誘電性物質は、強誘電性をもつ原因が主に原子にある場合と、電子にある場合とに分けられます。私達の研究は、電子を主役とした有機物の強誘電性物質です。


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