1研究者 へのみち

――小学校の頃、周りの友達に「研究者になるんだよね」と言われていたので、その気配はあったのかもしれません。……実際の研究に出会ったのは大学に入ってからです。
――もし研究者をやめたら、たぶん、起業して、トレーダー(貿易商)をやると思いますね。やはり商人の血が流れている気がします。

2恩師 と自然とに導かれて

――上野信雄先生という、非常に個性の強い先生に出会って、一緒に研究したいと思い、上野研究室に入りました。これが研究分野との出会いですね。
――そこでは当時から、機能性有機分子がメインの研究をしていました。……結果的には、私はこれ一本で、今日に至ります。……私にしか見えていない世界が、あると思います。自然界が私を導いていた、と言ったらおこがましいでしょうが。

3研究生活はたらきかた改革

――最初にカルチャーショックだったのは、彼らは17時に帰るんですよね。……ドイツ式でしっかり回っているので、限られた時間で集中して仕事するということで、いいんだと思いますね。
――「能率が悪い」と一概には言えないと思っています。……0から、1にするのはすごく大変で、所要時間もわかりません。日本式だと、たぶん0.1ぐらいが、いっぱい出来てくるんです。

5 もいない世界へ

――学生時代は山岳部に所属していました。……人の行けないところに行くと、征服感があるんですよ。……最高50キロ背負って歩きました。当時は毎日トレーニングして体を維持していました。懐かしい…。
――研究って、すごくタフですよね。……やはり楽しいから、やれるんですよ。……たどり着いた場所の景色の良さ、仲間で協力した達成感の気持ち良さがあるから、やめられない。厳しくても、見返りがある。

4遠い未来・・、はるか彼方の銀河系で…

――我々自身が進化していかないと、いずれ人類は滅びてしまうと思います。……学生に自分の夢を話すんです。「スターウォーズみたいな世界を経験したくない? 宇宙人っていると思う?」って。
――現状の技術で潤った日常生活に満足してしまって、進化に対して好奇心がなくなると、知的生命体は滅びてしまうんだと思います。
――現状維持しようと思ったら絶対落ちていきますよ。……日本のマンガやアニメってすごく貢献していると思っています。……夢を見させてもらうと、好奇心は継続できますね。

6研究者 を目指す方々へのメッセージ

――人と同じことをしていてはダメです。オリジナリティーが重要で、そのためには広い視野が必要です。日本は良くも悪くもガラパゴス的に進化しやすくて、しかもこの様子は国内にいたのでは、わからない。……若い時は、何年かは海外で仕事をして、外から日本を見てほしい。
――研究を楽しみなさいという事ですね。そして行動しましょう。……どの実験をやっていいかわからないと、よく相談されるんですけど、「悩むんならやれよ。実験結果が教えてくれるから」って言います。