分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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「量子状態理論」の研究者(江原正博先生)

分子を研究するアプローチとして実験によるものと、理論によるものとがあります。後者には電子状態理論、分子シミュレーション、統計力学理論などが用いられています。さらに、分子の電子状態(電子構造)を探求する電子状態理論は、より高精度に化学現象を記述できるようにする方向と、フラーレンなどのような大きな分子に適用できるようにする方向の研究があります。分子の励起状態は様々な電子状態を取りうることから、励起状態を研究するには高精度な理論が必要になります。そして、そのような理論を開発することは、光材料開発の研究にもつながります。
先生は、励起状態(分子が興奮した状態)を精密に記述する理論の開発に成功し、高精度な電子状態理論に基づく理論化学の開拓に挑んでいます。


もっと詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
https://www.ims.ac.jp/research/group/ehara/
ビデオ:http://www.ims.ac.jp/public/vlibrary.html


研究者になったのはなぜですか?

特に強い動機があったわけではありません。
ただ、大学院生の頃から、毎日毎日、研究に没頭した生活をしていました。そして気が付いたら研究者になっていた、という感じです。

また、当時、理論化学が広い分野でその重要性が認識され、日本の様々な大学で理論化学の研究室を新しく作るという流れがありました。福井謙一先生がノーベル化学賞を受賞されたことも重要でした。

理論化学との出会いは?

学部の頃は、工学部合成化学科の学生でした。

理論化学は、2年生の時、教養課程の有機化学の授業で、福井先生の理論やウッドワードとホフマンの理論を学びました。この時、“理論でこんないろいろなことが説明できるのか”とその素晴らしさに感動しました。

大学院では専門的に理論化学をやりたいと思うようになりました。そこで、当時、卒業研究と異なる学科の大学院に進む人は少なかったのですが、私は先生にお願いして分子工学科の大学院に進むことにしました。理論化学の第一人者である中辻博先生の研究室です。

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