分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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「有機太陽電池」のパイオニア 平本 昌宏(ひらもと まさひろ)先生

分子科学研究所は、井口洋夫分子科学研究所第3代所長が有機半導体の概念を提唱し、確立させたことから、有機半導体の研究にはそれ以降も力を入れています。有機太陽電池は、有機半導体を用いたデバイスとして産業的な利用が強く望まれているものです。有機太陽電池には、色素増感太陽電池と有機薄膜太陽電池の2タイプがあります。

先生は、有機薄膜太陽電池の研究でパイオニア的存在です。現在、開発がすすめられている有機薄膜太陽電池はPIN接合という構造のものですが、この構造は平本先生によって1991年に初めて提唱されたものです。

もっと詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
https://www.ims.ac.jp/research/group/hiramoto/
ビデオ:http://www.ims.ac.jp/public/vlibrary.html


研究者になったのはなぜですか?

博士課程を終えたら企業に就職するつもりでした。実際、ある大手総合電機メーカーの総合研究所から内々定をもらっていました。そのことを、指導教官に報告行ったところ、分子研で技官のポストがあるので、そこへ行ったらどうか、と勧められました。
正直なところ、企業の方が格段に給料がよかったのですが、やはり時間を気にせず研究できる環境に惹かれるものがありました。

大阪の梅田にある占い師に相談もしたんですよ(笑)。占い師から“今は給料が安くても、末広がりだ”と言われました。たぶん自分の気持ちは決まっていたので、こういう言葉で背中を押して欲しかったんだと思います。

今の研究テーマとの出会いは?

大阪大学の基礎工学部に在学していましたが、卒業研究のときに物理化学の坪村宏先生の研究室を希望しました。有機合成は苦手でしたから。坪村先生のもとでは溶液系での太陽電池の研究を行いました。

分子研では、坂田忠良先生のもとで、シリコン電極を用いた水の分解を研究しました。やはり太陽電池と関係ある研究でした。私の、研究に対するアイデア重視の考え方は、この時期に坂田先生の影響を受けたことが大きいです。

若い頃数年間過ごした分子研は楽しい思い出でいっぱいです。実験三昧でしたし、同年代の仕事仲間との付き合いも楽しかったですし。
30歳の頃、大阪大学の工学部で有機半導体の研究をしていた横山正明先生のもとへ異動しました。これが、私と有機半導体の出会いです。無機材料から有機材料へ、溶液から固体へという変化がありましたが、ここでも幸いなことに太陽電池の研究が続けられました。


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