分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

TOPページ > 江 東林

二次元共役系高分子はどうつくるのですか?

平面性を保ちつつ反応をさせないといけないので、X方向へ進む反応とY方向に進む反応を同じ速さになるように制御しないといけないのです。その制御がポイントですね。
基盤の上で超高真空・高温という極限条件下で一層に作る方法もありますが、欠陥が入るという欠点があります。私たちの方法は、普通の反応のように溶液中で行うことができる優れたものです。しかし、その条件を見つけて反応を制御するのはとても大変なのです。

最初の3年くらいは失敗の連続でした。苦労が実って世界で初めて二次元π電子系高分子の合成に成功し、論文発表ができたのが2008年でした。

最も気に入っている仕事は?

私たちが合成した二次元高分子の仕事です。
全部、分子研へ来てから自分で設計して合成したものです。

プレスリリースされた研究成果は三次元共役系高分子でしたね?

そうですね。でも、サブテーマなんですよ(笑)。

たまたま見つかったということですか?それとも別仕立てのテーマということですか?

別仕立てですね。プレスリリースしたものは光を捕集し、光エネルギーを伝達するという機能を持っているものです。その後、別の論文で、触媒機能を持っているものも発表しました。そして、両方の機能を併せ持つようなものにも挑戦しています。三次元共役系高分子は、高密度にポアを作ることができます。このため、活性の高い機能性高分子を作ることができるので、また別の魅力があるんです。

テーマが広がりますね。学生さんも増えるのですか?

ええ。これからもっと多くなりますよ。
私は学生に対して、将来の研究者に育て上げることを念頭においています。

留学生が多いため最初は生活に慣れることも必要ですし、テーマを与えて細かく指導します。そして、成長の具合をみて、ある時期に私の与えた課題を完成できるかどうかをチェックします。このチェックポイントに合格したら、後は個人の自由発想でやってもらいます。いつまでの私の言うことを聞いてやっているだけではだめですから。

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