分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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今の研究テーマ「内殻励起分子」との出会いは?

大阪大学へ行ってからは、今までと全く違った世界が始まりました。
私の大阪大学での指導教官は、筑波の高エネルギー物理学研究所(高エネ研)のシンクロトロン光施設、フォトンファクトリーで施設長をされていた佐々木教授でした。佐々木先生と一緒に初めて筑波へ行ったときのことは今でも忘れられません。
まず、大阪から東京まで飛行機で行ったのですが、飛行機に乗るのは初めての体験でした。そして、土浦(茨城県、常磐線の駅)から、バスを使わず、タクシーで高エネ研まで行きましたが、どんどん上がっていく料金メーターにハラハラしていました。高エネ研につくと、主幹クラスの先生方が、まだ修士1年生の私一人のために施設見学の対応をして下さり、随分丁重に説明して頂きました。

これが私のシンクロトロン光分野へのデビューでした。巨大な加速器群は大きなインパクトでした。
その後、私は「モノシラン分子(SiH4)のSiのK殻電子を励起するとどうなるか」というテーマで修士論文を書きました。これが、“内殻励起分子”との出会いです。
修士課程を終えた後、就職か博士課程への進学か、これもまた何も考えていませんでした。その時の情勢に身を任せて、東北大学の博士課程に進学し、指導教官は佐藤先生となりましたが、研究は変わらず高エネ研で続けていました。
博士課程2年生のとき、高エネ研で助手の公募がでました。高エネ研での実質的な指導教官から佐藤先生と応募の可能性について相談するように指示されました。正直なところ、佐藤先生は応募に反対されると思っていました。ところが、「就職が第一だ。学位はいつでも取れる」と応募することを進めて下さいました。これもまた運よく、若干名の公募に対して応募者7人、その中から何と4人も採用。その内の一人となりました。

研究テーマも研究者への道も、自分の意志というより流れの中で決まりましたね。

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