
TOPページ > 唯 美津木
どういう研究者でありたいですか?
既存の方法や考え方を発展させるだけでなく、常に新しい考え方が提示できるような研究をしたいと思っています。
アイデアの源は何ですか?
最初は漠然としています。突発的な思いつきもありますし、また研究室のメンバーといろいろ話している間に、だんだん「ああ、これがいいね」という感じで自分の頭の中で具体的になっていきます。
私は、研究の面白さというのは、最初に考えていたことがその通りに行くことだけではないと思うんです。私の頭で思いついて考えられることなんていうのは、世界の誰かは何年も前に思いついていたり、やっていたことであったりと、そんなレベルのことだと思います。むしろ、最初のアイディアを基に研究を進めていくと、予期しないところで面白い現象や事実が必ず見つかります。その時に、注意深く見て考えている人は、今遭遇した事実がもともとは予想していなかったけど大変面白いことだと気がついて、どういうことが起きたか、新しい現象がどういうことを意味しているか一生懸命考えて、新しいことを見つけていきます。一方、もともと考えていなかったからこれはだめなデータだと思い、よく考えないで折角見つかった新しい結果を見過ごしてしまうこともあるわけです。
学生をみていて良く思うことは、いろいろな結果を出す学生とそうでない学生の差は、与えられたことをそのままやるか、いろいろな新しい現象に遭遇した際に何か新しいことを意味するのか否か、自分で必死に考えようとするかの差だと感じています。
勿論、自分が面白いと思うことが、他の様々な知識を持っている研究者から見たら全く面白くないと思うことかも知れません。だからそのような種が見つかった時に、周りの研究者とディスカッションをして、そこをもう少しやってみるか否かを話し合うことが必要です。でも、今話し合う時かどうかは手を動かして実験をしているその人にしかわからないことだと思います。予想したことでなくても何か新しいことが出てきたら、それが客観的にみて面白いか否かを良く相談した上で、「これ面白そう」と思うことをちょっと脇道にそれてもやってみる。学生さんの指導でも、この点を大切にしています。だから、研究室では毎朝、前日やったことを全てオープンにして、その日何するかをみんなで話し合うようにしています。結果を受けて、前日とは全く違う研究内容になることもしばしばです。
趣味は?
子供のころからずっとピアノをやっていました。
東大時代には演奏会をやったりもしました。ピアノをやっていてよかったなあと思いました。
今までの人生で強く心に残っていることは?
その質問、20年後に聞いて下さい(笑)。
(聞き手注:お話を伺った当時、唯先生は、まだ30歳を少し超えたばかりです)
唯 美津木(ただ みづき)・准教授
2001年東京大学理学部卒 2004年同博士課程中退 博士(理学)(東京大学) 2004年東京大学大学院理学系研究科助手、2007年同助教、2008年同准教授 2008年10月より現職 2008年仏ルイパスツール大学客員教授 2008年~ JASRI/SPring-8 客員研究員
2007年英国王立化学会PCCP賞 2008年日本化学会進歩賞 2009年日本放射光学会奨励賞、守田科学研究奨励賞、井上リサーチアウォード 2010年文部科学大臣表彰・若手科学者賞
聞き手&文:寺内かえで(広報室)、写真&web:原田美幸(広報室)
2010.7up