分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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企業との共同研究が多いようですが、産学連携についてのお考えは?

輸出関連企業の人たちは国際競争にさらされていますから、最高性能のものを作らなければならないということを真剣に考えています。私はこの真剣さが好きです。
では、どのような形態が良いかというと、企業でできて私たちにできないこともあれば、逆に私たちにしかできないこともあります。
“企業のできないことを私たちがやる”というのが私の産学連携に対する考え方です。つまり、基礎の部分を私たちが行うということです。単なる企業のお手伝いになってはいけないと思っています。

具体的な成果は?

いろいろありますが、例えば、ガソリン自動車用のレーザー点火プラグが開発されています。これはバッテリー駆動で10MWを超えるジャイアントパルス発生が可能なマイクロレーザー(共振器長10mm)で、コジェネレーションの高効率点火や原子炉壁のレーザーピーニング(光の弾による炉壁の改質、高強度化)などの光源としても期待されています。また、レーザーTVや、ポケットサイズのプロジェクターなどの商品にも一部、我々の研究成果が使われています。癌組織のイメージングが出来る次世代MALDIなど医療診断機器への応用も進行中です。それと、先鞭をつけたNd:YVO4レーザーは、既に分子研でもTiサファイアレーザー励起に広く使われています。しかしそれよりも、Ybセラミックレーザー、マイクロチップレーザー、バルクQPMなどマイクロドメインの制御と新たに発現する光機能、さらにこれによる高性能レーザーに関して包括的な議論ができる「マイクロ固体フォトニクス」という大学、国研、企業にまたがる国際的コミュニティができつつある事こそが大きな成果かも知れません。

研究生活で一番うれしい瞬間は?

レーザーを作ったことのある人なら誰でも感じたことがあると思いますが、レーザーが光ったとき(レーザー発振した瞬間)というのが一番うれしいですね。新材料、新構成の時は特にですが、どんなレーザーのときでもそうですよ。

趣味は?

昔は電気回路を作るのが好きでしたが、今はそれが仕事の一部になってしまいましたね(笑)。
もの作りはやはり大好きですね。

平等 拓範(たいら たくのり)・准教授
1985年福井大学大学院修士課程修了 同年三菱電機(株)研究員 1989年福井大学工学部助手 1998年2月より現職 東北大学博士(工学) 1993年~1994年文部省在外研究員(Stanford 大学) 2005年~2006年パリ第6大学客員教授 2007年~現在豊橋技術科学大学客員教授 2007年~現在豊橋技術科学大学客員教授 2004年平成16年度文部科学大臣賞(第30回研究功績者)、2008年(財)光産業技術振興協会第24回櫻井健二郎氏記念賞、米国光学会(OSA)フェロー表彰 他
OSAトピカルミーティングAdvanced Solid-State Photonics (ASSP 2009) 及びNonlinear Optics (NLO 2011) のGeneral Chair(ASSP 2008日本開催のProgram Chair).OSAテクニカルワーキンググループNonlinear OpticsのGroup Chair、Elsevia及びOSAのJournal Editor兼務.

聞き手&文:寺内かえで(広報室)、写真&web:原田美幸(広報室)
2010.10up

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