分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

TOPページ > 藤井 浩

研究スタイルの特徴は?

知りたいことが第一で、方法論にとらわれないことだと思います。これは、学部時代と大学院時代に大きく異なった分野を勉強できたためだと思います。例えば既に立体構造の解かれた酵素では、タンパク質の酵素活性のある部分、言い換えると金属イオンを捕まえている部分だけを抜き出します。そしてその部分を有機化学的に合成し、活性の本質となる部分について調べます。このような手法により、タンパク質の研究だけでは見えないところも見えてきます。こうした基礎研究の積み重ねによっていつかは、人工的に酵素を作るということも可能にしてくれるのではないでしょうか。物理化学的な手段として核磁気共鳴法や電子スピン共鳴法を得意としています。これらの手法は、分子の電子構造についての情報を与えてくれます。また最近は、有機化学、物理化学だけでなく、タンパク質の機能を調べるために、遺伝子組み換えの手法も取り入れています。

最も気に入っている仕事は?

ヘムオキシゲナーゼという、肝臓、脾臓、脳などに多く存在する酵素について、自己分解のメカニズムを解き明かしたものです。

この論文では、ヘムオキシゲナーゼと似た機構をもつチトクロームP450という酵素との違いもすっきりと説明することができました。論文を書いていて楽しかったです。

先生の研究の哲学は?

流行に流されないようにしたいと思います。そして、物の本質を突き詰める研究をしたいと思います。
自然はとても美しいものだと思うんですよ。自然の不思議さ、自然の美しさを多くの人に理解してもらえるような研究がしたいですね。

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