分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

TOPページ > 加藤 政博

高エネ研の大型加速器と分子研のUVSORはどんなところが違いますか?

加速器の規模だけでなく、カルチャーが違いましたね。

私は、学生の頃からずっとビッグプロジェクトの中の一員として仕事をしてきたので、いわゆる普通の大学の研究室の雰囲気というのは知らないんですよ。分子研の研究者とは育ったバックグラウンドがかなり異なるので、いろいろな面でカルチャーの違いを感じましたね。

例えば、論文についてですが、ビッグプロジェクトの中では個人で論文を書くというカルチャーはないんですよ。みんなで仕事をしているという感覚がいろいろなところにありましたね。ところが、分子研では全く違いました。論文を書かないと、評価されませんし、研究費も獲得できませんから、例えば、若い人に海外の学会で発表させるためのお金の工面に困るとか、いろいろあるわけです。

加速器についていえば、大型加速器はそれに関わる人間の組織も大きく、新しい試みをしようとすると随分時間がかかります。逆に、小規模すぎると人員も少ないので施設の運転業務だけで手いっぱいになります。分子研のUVSORはその点で、組織として大きすぎないので小回りが利き、また、新しい光源開発に対する理解もあるので新規な試みがやりやすいですね。

最も気に入っている仕事は?

加速器の性能を向上させたことですね。これは高エネ研でも、分子研でも当てはまります。

特に2003年に行ったUVSORの大改造では、大きな満足感が得られましたね。加速器のような大型装置に手を入れて目的の性能が得られるというのは達成感があります。

今、最もホットな興味は?

外部からレーザー光を入れ、UVSORを周回する電子ビームと相互作用させて、レーザー光のような特性をもつ光をシンクロトロン放射により作り出す研究に力を注いでます。

大型加速器施設ではできない、UVSORならではの研究テーマだと考えています。

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