分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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「分子運動に魅せられた」研究者(大島康裕先生)

私たちの生活している大気中には、窒素、酸素、二酸化炭素、水など様々な分子が飛び回っています。おおよそ、1秒間に300メートル飛び回り、1011回も回転し、1012~1013回も振動していることが研究により知られています。でもその分子の運動の様子を実際に見たことがある人はまだいません。

先生は、分子が運動している様をリアルに見るためにはどのようにすればいいのか、ということを追求しています。


研究者になったのはなぜですか?

職業として研究者を意識したのは理学部での卒業研究で研究室に配属された頃です。
でも、科学に対する興味というのは、小学生のころからありましたね。
小学校の理科の先生がとても熱心な方でした。私は東京に住んでいたのですが、その先生は、ボランティアとして希望者を募り、千葉や埼玉に自然体験学習に連れて行ってくれました。楽しかったですね。
それと、私の場合、2歳年上の兄が大の化学好きで、小学校の頃から二人で家で実験をして遊んでいました。ケミカルガーデンとか、ちょっと具体的には言えませんけど紫煙の出る実験とか(笑)。
全く忘れていましたが、小学校の頃の文集に“将来は化学者になりたい”って書いていたんですよ(笑)。
高校生の頃は、ブルーバックス(講談社から出ている自然科学をやさしく紹介するシリーズ)をよく読みましたね、特に、物理系の量子力学に関するものを。観測するとはどういうことかという観測問題とか、ちょっと哲学っぽくて興味がありました。

レーザーとの出会いは?

3年生のときに化学科に進み、4年生で分光学の研究室を選びました。
当時の最も高性能なレーザーが理化学研究所にあり、それを使わせてもらうことができました。とてもきれいな結果に感動しました。複雑なパターンのスペクトルも、うまく解釈してやると全てきれいに説明できるんです。難しいパズルを解くような面白さを味わうことができました。分光学の面白さの一つはこういうところだと思いますね。

そして、助手をしていた頃、感度のいい装置を使って、分子の作り方にも工夫をして、今まで誰も捕まえたことのなかった分子を見ることができました。これは大きな感動でしたね。

お兄さんのように有機化学ではなく、分光学を選んだのはなぜ?

やはり物理に興味があったからでしょうね。
物理学科に進むという選択肢もあったわけですが、化学を選んだのは物質を扱いたかったからです。やはり小学校の頃に兄とした化学実験の影響かもしれません。

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