分子研の散歩道1 研究者のよこがお

 

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最も気に入っている仕事はやはり2003年のスマネンの合成ですか?

いえ。私個人的には、博士論文を書いた方の仕事ですね。
拾ってきた仕事の方が個人的には好きですから。
全然違う発想で思いついた反応を年末に仕掛けて、出来たものを核磁気共鳴スペクトル(NMR)で測定したとき、思った通りの結果が得られました。これは今までで一番うれしかったNMR測定です。

スマネンの仕事は、そういう意味では時間も長くかかりましたし、最終的には学生さんと二人三脚で“ようやくできたね”という、むしろほっとしたような感じでした。修士論文の発表も終わっていて、普通は「あとは卒業するだけ」という時期にもかかわらず、私に内緒でその学生さんが一所懸命X線結晶解析をしてくれていて、そのデータをある日、修士論文の内容に足してさらっと見せてくれた時は、その心意気が非常にうれしかったですね。データも非常に美しかったですし。これは今までで一番うれしかった結晶解析です。

先生の研究の哲学は?

好奇心を失ったらおしまいだと思っています。常に新しいことを試していきたいです。
それから、研究者であると同時に、教育者でなくてはいけないと考えています。次の世代に受け継がれるようにしなくてはいけないですね。

趣味は?

今は時間がありませんが、以前は茶道(裏千家)を長くやっていました。それから陶芸にも興味があります。今でも、陶芸展はよく見に出かけますよ

有機合成と陶芸と、どちらが難しいですか?

それは陶芸ですよ。センスが必要ですから。

櫻井 英博(さくらい ひでひろ)・准教授
1989年東京大学理学部卒業、1994年同大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学) 東京大学大学院理学系研究科助手、学振海外特別研究員(ウィスコンシン大学)、大阪大学大学院工学研究科講師、同助教授を経て、2003年10月より現職(併任、2004年4月より専任) 2007年10月よりJSTさきがけ研究員兼任

聞き手&文:寺内かえで(広報室)、写真&web:原田美幸(広報室)
2010.8up

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