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機能分子科学専攻平等 研究室

場所:明大寺キャンパス 研究棟117号室
Annual Review : こちら

マイクロ固体フォトニクスの研究

キーワード マイクロチップレーザー,非線形光学,マイクロドメイン,セラミックレーザー

固体レーザーは、ジャイアントパルスやモードロックなどの高輝度光や極短パルス発生が可能であるため不安定かつ大型で大電力を要するものの先端科学技術の探求には不可欠な存在であります。

本研究グループは、光の波長と同程度のミクロンオーダーで光学材料の性質を制御する事により光波を発生・制御する“マイクロ固体フォトニクス”に関する研究を展開してきました。図1に示すマイクロドメインを制御した新たな固体レーザーよる高性能化が期待されます。すなわち、マイクロチップ共振器(1990年Nd:YVO4、 1993年Yb:YAG、 1997年セラミックYAGなど)1-5)による高コヒーレント光発生、相関制御による高輝度温度のジャイアントパルス発生(ジャイアントマイクロフォトニクス)、コヒーレンス長に合せマイクロドメインの非線形分極を制御する擬似位相整合(Quasi phase matching、 QPM)6)による非線形光学波長変換(1998年バルクPPMgLNなど)などです。そしてこの手法を用いたレーザー素子により、ジャイアントパルス光によるレーザー点火、金属加工を可能とする高出力レーザー、アト秒が望める非線形波長変換超短パルス、高い分解能を有する中赤外光源7)、ポータブルテラヘルツ光源8)などが望めるようになりました。興味深いことにマイクロチップレーザーは、従来のメガワット出力レーザーで困難であった、サブナノ秒からピコ秒領域、すなわち従来のパルスギャップ領域(図2)に直接アクセスできます。しかも単色性が高いため物質と強く相互作用でき、種々の非線形現象を引き起こせます。何にしても、従来は自由に発生できなかった時間領域ですから、これまで見逃していた新現象などの探索に有効です。そして、アト秒やそれよりも短い未踏の超短パルス発生にも重要であるとされるなど、マイクロ固体フォトニクスによる時間領域における新展開が期待されます。2,5)高出力化、高輝度化とともに波長域の開拓を進めてきた結果、手のひらサイズの光源により紫外域からTHz波領域までの広帯域光の発生が可能になりつつあります。(図3)

マイクロ固体フォトニクスを展開する事で、様々な分野の方と共に理化学分野から産業分野にパラダイムシフトをもたらすような分子科学のフロンティア開拓できるでしょう。

 

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図1:マイクロドメイン制御

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図2:高強度レーザーのパルスギャップとこの充実により拓かれる新たな時間領域

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図3:マイクロ固体フォトニクスの進展(ジャイアントマイクロフォトニクス)により可能となった波長域

参考文献

  1. T. Taira, A. Mukai, Y. Nozawa and T. Kobayashi, Opt. Lett. 16, 1955-1957 (1991).
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  4. T. Taira, IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron., 13, 798-809 (2007). INVITED
  5. T. Taira, [INVITED ], Opt. Mater. Express, 1, pp. 1040-1050 (2011) : D. G. Rowe,“ OUT OF THE LAB: Lasers for engine ignition,” Nature photonics, 2,     515-517 (2008): OSA News Release <http://www.osa.org/about_osa     /newsroom/news_releases/releases/04.2011/lasersparks revolution.aspx>, BBC News <http://www.bbc.co.uk/news/ science-environment-13160950>.
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  7. M. Miyazaki, J. Saikawa, H. Ishizuki, T. Taira, and M. Fujii, Phys. Chem. Chem. Phys., 11, pp. 6098-6106 (2009).
  8. S. Hayashi, K. Nawata, T. Taira, J. Shikata, K. Kawase, and H. Minamide, “Ultrabright continuously tunable terahertz-wave generation at room temperature,” Scientific Reports 4:5045 (2014). DOI: 10. 1038 / srep 05045.
  9. T. Taira, T. Y. Fan, and G. Huber, “ Introduction to the Issue of Solid-State Lasers” IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. 21, 0200303 (2015).