分子科学研究所

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2003/12/17

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UVSOR研究会(20周年記念)開催報告

12月2日、3日とUVSOR研究会(20周年記念)を実施しました。ポスター(写真1)ではこれまで毎年発行してきた18冊のUVSOR Activity Reportの写真を背景にしましたが、お気づきになったでしょうか。この20周年はUVSOR施設が最初の放射光を発した昭和58年11月10日を基準にしたものです。今から10年前には、何もないゼロの状態から始まった伸び盛りの10年間を記念して10周年記念を祝ったのですが、2期目の10年間は成熟期と言える一方、実態としては施設が飽和状態となり、しかも加速器の老朽化対策が不可欠になってきたつらい10年間でした(になりそうでした)。幸い、3年半前に着任した加藤政博助教授の検討結果に基づき、文部科学省に要求してきたUVSOR加速器の高度化計画の予算が平成14年度に認められたため、今回、20周年を高度化完成披露としても祝えることができたわけです。関係者一同、次の10年間を新たな気持ちで始めることができる幸運を非常に喜んでおります。

さて、当日は100名以上の参加者(半数以上は利用者の皆さんですが、他に文部科学省、分子研評議員、運営協議員、UVSOR運営委員、名誉教授等が所長の招へいによって参加)があり、盛況に20周年記念研究会を実施することができました。12月2日は見学会(来賓他)、高度化完成報告会、特別講演、懇親会(祝賀会)を行い、12月3日は利用者研究報告会を実施しました。会場は岡崎コンファレンスセンター中会議室及び小会議室でした。来賓の見学会は4班に分けて、施設長及び施設3助教授がそれぞれ分担して実施しました(評議員の方々の見学の様子(写真2)、文部科学省金谷史明企画官の見学の様子(写真3))。来賓以外で久々に訪れたOBの人たちなどは施設スタッフが適宜、個別対応しました。そのあとの高度化完成報告会では、過去に振り返るのではなく将来を見据えた報告を施設長及び施設3助教授が行いました。特別講演は日本放射光学会長 松下正先生(物質構造科学研究所副所長)に「UVSORへの期待」というタイトルでお話しいただきました(写真4)。UVSOR-IIの光源パラメータを少し変えると10~100 eVの領域では世界最新鋭の第3世代光源と同等の性能が出せることを示され、UVSOR施設でその領域の強化についてアドバイスされました。

UVSOR研究会の懇親会として開催した20周年祝賀会では文部科学省の基礎研究推進企画官・大型放射光施設利用推進室の金谷史明室長により祝辞を賜り、そのあと、UVSOR施設の生みの親の井口洋夫名誉教授(現在、宇宙航空研究開発機構顧問)がシャンパンによる乾杯の音頭をとられました(写真5)。昭和58年11月10日の最初の放射光を一般的なFirst Lightでなく「初点」と命名された経緯(今もコントロール室に当時の長倉三郎所長の筆によるプレートが掲げてあります)を伺いました(写真6)。これからも気を抜かず「初点」を大事にして、30周年、40周年、と祝っていける施設として発展させなければならないと感じさせるスピーチでした。また、祝賀会の合間には中川和道UVSOR利用者懇談会会長、北原和夫分子研運営協議員(前日本物理学会長)、柳下明UVSOR運営委員からそれぞれ祝辞をいただきました。2日目には利用者研究報告会(口頭発表に加え50を越えるポスター発表)が中川和道懇談会会長のアレンジで行われました。1日目、2日目とも会場にはポスターを常設してあったので、祝賀会の合間にもポスターを前にいろいろな議論が行われていました(写真7)。

UVSOR施設では、今年度より、高度化で生まれ変わった加速器をUVSOR-II加速器と呼んでおります。ロゴマークも定めました(写真8)。また、法人化後は極端紫外光実験施設から極端紫外光研究施設と名称変更します。それは、共同利用実験として実験装置を使っていただくお店のような受動的施設から、いろいろな共同研究の枠組みを使って研究成果を上げていく能動的施設に変わるという意思表示です。今後のご支援をよろしくお願いします。

(UVSOR施設長 小杉信博)