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極端紫外光研究施設(UVSOR)

加藤(政)グループ


グループリーダー

加藤(政)グループ_メインイメージ

研究テーマ

相対論的電子ビームを用いた光発生

キーワード

シンクロトロン光、加速器、電子ビーム、レーザー


分子科学研究所の保有する電子加速器UVSORは1980年代前半に建設されたシンクロトロン光源です。周長53m、電子エネルギー7.5億電子ボルトと小型で、テラヘルツ波から軟X線といったシンクロトロン光としては比較的低エネルギー(長波長)の領域を得意とします。何度かの改造を経て、現在でも同種の装置の中では世界最高水準の高性能を誇ります。私たちの研究グループでは、このUVSORの性能向上に取り組みながら、高エネルギー電子ビームからの光の放射に関する研究を行っています。

高エネルギー電子が強磁場中を走るときに発する強力な白色光がシンクロトロン光です。テラヘルツ波からX線に至る広大な波長域で高い指向性、偏光特性を有する光です。このシンクロトロン光が本来持っている優れた特性を十分に引き出すには、指向性、強度、安定性に優れた電子ビームが必須です。最新の加速器技術の導入、独自の技術開発により、世界最高水準の高品質電子ビームの生成に取り組んでいます。また、より強力なシンクロトロン光を発生するための挿入型光源と呼ばれる装置の開発にも取り組んでいます。

シンクロトロン光は優れた光源ですが、レーザーのようなコヒーレントな光源ではありません。我々は、レーザーのような特質を持つシンクロトロン光、すなわち、コヒーレントシンクロトロン光の発生に関する研究を進めてきました。シンクロトロン光を光共振器の中に閉じ込め電子ビームと繰り返し相互作用させることでレーザー発振が実現できます。自由電子レーザーと呼ばれる技術です。UVSORでは安定性や強度に優れた共振器型自由電子レーザーの開発を進めてきました。電子ビームと外部から導入したレーザー光を相互作用させることで、テラヘルツ波や真空紫外領域でコヒーレント光を発生することに成功しました。また、レーザー光を電子ビームに衝突させることで、エネルギー可変、偏光可変、超短パルスのガンマ線の発生に成功しました。最近では、電磁放射の時空間構造に着目した研究に力を入れています。光渦と呼ばれる螺旋状の波面を持つ光やベクトルビームと呼ばれる偏光が場所により変化する光など、空間的な構造を持つ放射光の研究を進めています。また、放射光の波の時間構造を利用し、原子の量子状態を制御する研究にも着手しました。

相対論的電子からの光の放射、放射された光の物質との相互作用は、基礎物理学の対象としても興味深く、また、天体物理学、プラズマ物理学から物質科学、生命科学、アストロバイオロジーなど様々な分野において重要な役割を果たします。我々は、幅広い分野の研究者と協力して、光の物理の探求を進めています。

UVSOR-3.jpg

UVSOR-III Electron Storage Ring and Synchrotron Radiation Beam-lines.
The circumference is 53m. The electron energy is 750 MeV. Electrons are circulating in the storage ring at almost the speed of light and radiate intense vacuum ultraviolet light.

参考文献

  1. M. Katoh, M. Fujimoto, H. Kawaguchi, K. Tsuchiya, K. Ohmi, T. Kaneyasu, Y. Taira, M. Hosaka, A. Mochihashi, Y. Takashima, “Angular Momentum of Twisted Radiation from an Electron in Spiral Motion”, Phys. Rev. Lett. 118, 094801 (2017)
  2. Y. Hikosaka, T. Kaneyasu, M. Fujimoto, H. Iwayama, M. Katoh, “Coherent control in the extreme ultraviolet and attosecond regime by synchrotron radiation”, Nat. Commun. 10 4988 (2019)

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