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光分子科学研究領域加藤(政)グループ

加藤(政)グループ_メインイメージ
場所:明大寺キャンパス UVSOR棟2F
Annual Review : こちら

シンクロトロン光,加速器,電子ビーム,レーザー

相対論的電子ビームを用いた光発生

分子科学研究所の保有する電子加速器UVSORはおよそ30年前に建設されたシンクロトロン光源です。周長53m、電子エネルギー7.5億電子ボルトと小型で、テラヘルツ波から軟X線といったシンクロトロン光としては比較的低エネルギー(長波長)の領域を得意とします。何度かの改造を経て、現在でも、同種の装置の中では世界最高水準の高性能を誇ります。私たちの研究グループでは、このUVSORの性能向上を図りながら、高エネルギー電子ビームを使った光発生に関する研究を行っています。

高エネルギー電子が強磁場中を走るときに発する強力な白色光がシンクロトロン光です。テラヘルツ波からX線まで広大な波長域で高い指向性、偏光特性を有する光です。このシンクロトロン光が本来持っている特性を十分に引き出すには、指向性、強度、安定性に優れた電子ビームが必須です。最新の加速器技術の導入、独自の技術開発により、世界最高水準の高品質電子ビームの生成を目指して研究を続けています。電子ビームの指向性を高めるビーム収束系の開発、電子ビーム強度を安定に保つビーム入射法の開発などに取り組んでいます。また、より強力なシンクロトロン光を発生するための挿入型光源と呼ばれる装置の開発にも取り組んでいます。

シンクロトロン光は優れた光源ですが、レーザーのようなコヒーレントな光源ではありません。我々は、レーザーのような特質を持つシンクロトロン光、すなわち、コヒーレントシンクロトロン光の発生に関する研究を進めています。シンクロトロン光を光共振器の中に閉じ込め電子ビームと繰り返し相互作用させることでレーザー発振が実現できます。自由電子レーザーと呼ばれる技術です。UVSORでは安定性や強度に優れた共振器型自由電子レーザーの開発を進めてきました。自由電子レーザー光を様々な利用実験に供給する一方で、自由電子レーザー発振に関する基礎研究も行っています。電子ビームと外部から導入したレーザー光を相互作用させることで、テラヘルツ波や真空紫外領域でコヒーレント光を発生することにも成功しています。レーザーを利用して電子ビームの密度構造を制御することで、シンクロトロン光の波長・強度・位相などを制御することができます。電子ビームの運動を制御することで偏光を制御することもできます。また、レーザー光を電子ビームに衝突させることでガンマ線を作り出すこともできます。エネルギー可変、偏光可変、超短パルスのガンマ線の発生に成功しています。最近では、光渦と呼ばれる螺旋状の波面を持つ奇妙な光が発生できることもわかってきました。その放射原理を解明することで、光渦が自然界に広く存在する可能性を世界に先駆けて示しました。

UVSORは高い電子ビーム性能を誇りながら、加速器としては比較的小型で小回りが利きます。上記のような光発生に関する基礎研究を行うには最適な施設です。今後さらに、実用化を意識しながら、研究を進めていきたいと考えています。また、超高性能電子加速器を用いた次世代シンクロトロン光源の検討にも着手しています。

UVSOR-3.jpg

UVSOR-III電子蓄積リング