2022年7月17日から22日かけて米国ボストンにて開催された国際学会「23rd International Conference on Solid State Ionics」に参加させていただき、ポスター発表をして参りました。私は小林グループにて水素の陰イオンであるヒドリドイオン(H‒)が酸化物イオン(O2‒)の骨格構造内に共存した酸水素化物という物質群に着目してH‒導電体の開発を行なっています。最近、我々は構造相転移に伴って300 ºC以上の温度域で超イオン導電性を発現するH‒導電体Ba1.75LiH2.7O0.9の開発に成功しており、この学会ではBa1.75LiH2.7O0.9 のLiの一部をNa置換することによる超イオン導電相の低温安定化について報告いたしました。2019年にコロナ禍が始まって以来、海外での発表ができておらず、この学会が海外で参加できた初めての国際学会となりました。現地に赴いて発表することで対面での議論を深めることができ、オンラインでの発表以上に人間味を感じる、とても有意義な発表となりました。オンラインで交流できることは多くのメリットがありますが、インターネットを利用したコミュニケーションツールが発展した現在でも僅かな仕草や空気感といった対面で得られる情報が人間同士のコミュニケーションにおいて重要であると感じました。今回、質疑の時間に質問することはできませんでしたが、セッション後に海外の研究者に質問することができ、ネイティブの方の英語に苦戦しながらも拙い英語で質問や議論ができたことが少しながら自信につながったように思います。今後もより良い成果報告ができるよう、精進して参ります。最後に、今回の国際学会への参加にあたって、旅費と参加費の御支援賜りました新学術領域研究「ハイドロジェノミクス」の関係者の皆様方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。