2023年12月13日から15日にかけて、タイのバンコクで開催された国際学会「16th Eurasia Conference on Chemical Sciences 2023 (EURASIA 2023)」に参加し、ポスター発表を行いました。本学会は持続可能な化学の発展を目的としており、材料化学、生物化学、分子設計・モデリングなどの幅広い領域における講演が行われました。分子研からも多くの先生方が発表されていました。
私は「生体膜上に流れを発生させる非平衡分子動力学法の開発」について発表しました。現在、生体分子のシミュレーション研究は平衡状態で行うのが一般的です。しかし、血漿や脳脊髄液などの細胞外液中では流れが存在し、平衡状態と流動状態で生体分子の動力学が同一であるとは限りません。そこで私は、生体膜上に流れを発生させる非平衡分子動力学法を開発し、本学会ではこの手法の導出と解析結果について発表しました。この発表は多くの注目を集め、活発な議論を行うことができました。この学会への参加は私にとって初めての海外経験であり、言語面で不安がありました。しかし、私の拙い英語でも自分の考えを伝え、議論できた経験は英語でのコミュニケーションの自信に繋がりました。
また、本学会では現地のチュラロンコン大学から多くの学部生が参加し、ポスター発表を行っていました。彼らの研究内容やポスターのクオリティは非常に高く、学生間でも積極的な議論が交わされ、その熱意の高さに驚かされました。年齢の近い若手研究者との交流により、自身の研究に対するモチベーションが向上し、価値ある時間を過ごすことができました。
最後に、本研究の遂行に関するご指導と国際学会での発表の機会をいただきました奥村先生と伊藤先生に心より感謝申し上げます。また、学会会場でお世話になりました分子研の先生方、空港からホテルまでお送りいただいたチュラロンコン大学のSompornpisut教授にも感謝申し上げます。