お知らせ
2009/12/03
受賞
物質分子科学研究領域・電子構造研究部門の邨次智助教が、第2回アジア錯体化学会議(11月1日~4日、中国(南京))において英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)のDalton Transactions Poster Prizeを受賞しました(発表者360人中、受賞者6人)。受賞題目は「Design of a Molecular-Imprinted Ru Catalyst for Regio- and Shape-Selective Epoxidation Using O2」(モレキュラーインプリンティングRu(ルテニウム)錯体触媒の設計と酸素によるエポキシ化反応の位置選択性制御)です。
今回の受賞研究は、触媒反応における分子内位置選択性制御を目指して、シリカ表面に固定化したRu錯体の鋳型分子を配位子とした新しい表面モレキュラーインプリンティングRu触媒を設計したものです。表面モレキュラーインプリンティング法は、酸化物表面に固定化した金属錯体の配位子を鋳型分子とすることで、触媒反応活性点である金属種の近傍に鋳型分子の形状を記憶した反応空間を構築する手法です。リモネンは、一つの分子の中に、内部および末端の二ヶ所にアルケン(C=C二重結合)を有する分子です。しかし、末端アルケンは反応しにくいため、一般に末端アルケンのみを選択的にエポキシ化することは大変困難です。今回、リモネンの末端アルケンエポキシ化の中間体に類似した構造を有する分子を鋳型分子として、リモネンの末端アルケンエポキシ化のための反応空間を有する表面モレキュラーインプリンティングRu触媒を設計し、リモネンエポキシ化の位置選択性制御に初めて成功しました。
このような触媒反応における形状選択性、位置選択性の自在制御は、医薬品などの複雑な分子の合成において、現代社会で必要とされる様々な有用物質を創り出す新しい触媒設計に指針を与えるものであり、触媒設計における斬新なアイディアと一連の研究成果が高く評価されました。
唯グループHP ---http://groups.ims.ac.jp/organization/tada_g/