お知らせ
2010/08/30
プレスリリース
自然科学研究機構分子科学研究所では、平成18年度から開始された次世代スーパーコンピュータの研究開発プロジェクト「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクト(現、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プロジェクト)の一環として、ナノサイエンス分野のグランドチャレンジ研究開発課題に取り組んでおり、開発するシミュレーションソフトウェア群による次世代スーパーコンピュータ「京」上での大規模高並列計算の実証を目指しています。その実証の準備として、筑波大学計算科学研究センターのT2K筑波システムを用いて、国内最大級の大規模高並列計算を開始しました。
分子科学研究所では、文部科学省の国家プロジェクトの一つとして平成18 年度から開始された「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクト(現、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プロジェクト)の一環として、ナノサイエンス分野の3つのグランドチャレンジ研究開発課題、(1)次世代ナノ情報機能・材料、(2)次世代ナノ生体物質、(3)次世代エネルギーに取り組んでいます(拠点長:平田文男分子科学研究所教授)。開発中の次世代スーパーコンピュータ「京」を分子・物質の計算科学のシミュレーションで最大限に活用できるよう、計算科学理論・方法論の確立と、それらに基づくソフトウェア群「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア」の開発を行ってきました。本研究開発は、電子・原子・分子レベルからの精緻な大規模計算にもとづいて、ナノスケールの物質で発現する特有の現象・特性を解明し、予測することを目的としています。すなわち、上記のナノスケールの原子・分子系や電子系などが自己組織化により自発的に形成する構造や、それに基づいて発現される物質のさまざまな機能に対し、分子軌道法、分子動力学法、固体電子論などの計算科学的手法を用いて明らかにしようというものです。これにより、たとえば分子エレクトロニクス素子や新規触媒、創薬、そして新しい原理に基づいた高密度記録材料や光スイッチなど、これまで経験に依存していた次世代ナノ材料設計に対する計算科学的手法の学術基盤を形成します。
今般、上記実証研究の準備として、筑波大学計算科学研究センター(佐藤三久センター長、筑波大学教授)の全面的な協力を得て、T2K筑波システムの全システム(640ノード(10,240コア))を用いて、国内最大級の大規模高並列計算を開始しました。第1回目の大規模高並列計算は、平成22年3月上旬に実施されました(注1)。第2回目の大規模高並列計算は、平成22年8月下旬に実施予定で、以降11月下旬、平成23年2月下旬と計画的な実施を予定しています。
(注1) 平成22年3月9日~12日に、「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア」のソフトウェア群の中の、「実空間第一原理ナノ物質シミュレータ」(開発責任者、押山淳東京大学大学院工学系研究科教授)、「大規模並列量子モンテカルロ法」(開発責任者、藤堂眞治東京大学大学院工学系研究科講師)、「高速量子化学計算ソフト」(開発責任者、永瀬茂分子科学研究所教授、北浦和夫産業技術総合研究所ナノシステム研究部門顧問/京都大学大学院薬学研究科教授)の3つのソフトウェアで実施。
別紙1(PDF):ナノサイエンス分野の3つのグランドチャレンジ研究開発課題について
別紙2(PDF):次世代スーパーコンピュータ「京」が完成された際に、シミュレートが可能となるグランドチャレンジ課題の一例
別紙3(PDF):T2K筑波システムについて
別紙4(PDF):「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア」の概要について
別紙5(PDF):次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェアの研究開発実施体制について
別紙6(PDF):未来に向けたナノ分野グランドチャレンジ課題について
■本件に関するお問い合わせ先
自然科学研究機構 分子科学研究所 教授 ・平田文男
TEL : 0564-55-7463
E-mail : nanogc1@nanogc.ims.ac.jp(送信時は@を半角にしてください)
筑波大学 計算科学研究センター 教授 ・朴泰祐
TEL : 029-853-5518
E-mail : taisuke@cs.tsukuba.ac.jp(送信時は@を半角にしてください)