お知らせ
2013/08/12
アウトリーチ
2013年を迎えてほどなく、分子研広報の大島教授から「岡崎高校の学生が国際化学オリンピックの日本代表最終選考に残っているので、最終予選に向 けた練習・指導をお願いできないか」と打診をいただきました。う~ん、どうなることやら、どうしたものやら……。化学オリンピックは名称を聞いた事がある 程度で、その内容も実態もまるでわからないけど、まあ何とかなるさ。と、お引き受けすることとなりました。とくに魚住グループでは大迫、浜坂の2名の助教 に加え永長博士研究員も化学全般をカバーする基礎学力がとても高く、広く基礎化学の「足腰」を鍛えるなら、この3名の指導には全幅の信頼がおけると判断し たのです。
さて、ほどなく岡高の先生に伴われいよいよ当人、羽根渕君の登場です。指導方針の擦り合わせ、準備問題や実技課題テキストの確認をする中で “むむむ、こ いつはできるぞ! 素直でいいヤツだし。うちの大学院生より既に上ではないのか?” と期待と責任が大きく膨らんできます。実際の実地指導などはとても筆 者(魚住)の手に負えるものではなく、全面的に現場の3名にお任せです。滴定とか粘度測定とか、久しぶりに見る懐かしの“古典” “王道” 的な化学実験。いやあ、勉強になりました。羽根渕君は高校の授業終了後に魚住実験室に日参し、日々実験、実習、鍛錬の毎日でした。準備問題や実技課題も大 学の化学科卒業、つまり学士のレベルに相当するものです。紙の上での化学のみならず実験操作の意味を理解する力も最高レベルの逸材ですから、その実力はメ キメキ磨かれて行きます。
さてさて、3月。日本国内最終予選は見事に合格! いよいよ7月のロシアでの本選「国際化学オリンピック」に向けて、それまでのアクティビティーを継続す ることとなりました。その頃には、もはや羽根渕君がラボに居るのが当たり前になっていました。そしてとうとう遥かロシアの地にて本番です。魚住グループの 3名の“師範”も手を出せない遥かなるモスクワ。ただ祈るばかり……。
そしてとうとう待ちに待った朗報が飛び込んできました。「銀メダル獲得!!!!」おめでとうございます。本当に素晴らしい。なお、岡崎高校は本年「第2回 科学の甲子園全国大会」で優勝している。化学オリンピックの準備に集中するために羽根渕君という化学のエースを欠いての全国制覇。底力がありますね。本当 に素晴らしい成果です。
羽根渕君ならびに岡崎高校への祝福とともに、指導に心血を注いでくれた大迫、浜坂、永長の3博士に心から感謝いたします。8月、お盆の休み前に羽根渕君を 迎え、上記3博士と魚住の5名でビアガーデンにてお祝いのジンギスカンパーティーを催しました。祝い酒って美味いですね!(もちろん主賓の羽根渕君はソフ トドリンクですよ)
(魚住 泰広 記)