緊急のお知らせ

分子科学研究所

サイト内検索

お知らせ

お知らせ詳細

2022/04/05

プレスリリース

資源循環を実現する革新的触媒の開発・実証事業の開始について―環境省「地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業」 の開始―(杉本敏樹グループら)

【事業名】
環境省 令和4年度地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業 「革新的多元素ナノ合金触媒・反応場活用による省エネ地域資源循環を実現する技術開発」

 

事業の概要

 (環境省サイトより引用: https://www.env.go.jp/press/110715.html)

2050年カーボンニュートラル、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比46%減、更に50%減の高みに向けて、挑戦を続けていくという目標を達成するためには、水素などの脱炭素燃料の活用により脱炭素化を加速させるとともに、プラスチック資源などの活用を始めとした循環経済への移行が求められます。

脱炭素技術や資源循環技術の化学反応を促進させるために用いられる触媒には貴金属やレアメタル等が多用されていますが、需要に追従するように価格高騰が起きやすく、脱炭素化を促進する上で触媒材料の資源制約がボトルネックとなる可能性があります。上記の課題解決のためには、資源制約を生じさせることなく、廃プラスチックや地域の未利用資源等を原料にして、反応の高度化により資源循環を実現する触媒が必要です。

本事業では、地域資源循環を可能とする、革新的で比較的安価な触媒等に係る技術を開発・実証し、社会実装を促進することで、大幅な二酸化炭素の削減や化石燃料に依存しない循環経済の実現に寄与することを目的としています。

 

採択事業の概要

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、二酸化炭素の排出削減や化石燃料・資源に依存しない循環経済の実現が期待されています。本事業では、多元素ナノ合金(1)触媒と非在来型触媒プロセス技術の融合によって、温室効果ガスの削減に資する革新的な次世代反応プロセスを開発します。また、「非平衡ハイスループット合成(2)」、「材料創製インフォマティクス(3)」、「最先端計測・量子計算」の技術開発も行い当該触媒・プロセス開発研究を加速させます。産学官の連合体にて、バイオマスや水からのLPGや水素などの製造とその実証、及びエネルギー・資源循環システムの社会実装を目指し、地球温暖化の緩和など近い将来に向けた喫緊の課題解決の糸口につなげます。

0405_1.png

 

本研究事業における分子科学研究所の役割

分子科学研究所は、京都大学の北川宏 理学研究科教授のグループおよび早稲田大学の関根泰 理工学術院教授らのグループが開発している多元素ナノ合金触媒と非在来型低温触媒プロセスを融合させ、メタン及び水の混合系から水素を高効率に生成させる次世代化学反応プロセスを確立します。

低温反応環境下で水素の大量製造を実現するためには、外場の下で触媒表面に導入した電荷によって非熱的にメタン分子と水分子を酸化することでプロトンを作りだし、表面プロトニクスを制御して高効率に水素分子生成に至らしめることが肝要です。分子科学研究所の杉本敏樹 物質分子科学研究領域准教授のグループでは、非線形レーザー分光法(4)を用いることで物質表面上の水素結合ネットワークにおけるプロトン配置を観測し特定することにこれまで成功しています。本事業では、特に非線形レーザー分光に立脚したオペランド観測・解析(5)を系統的に実施し、多元素ナノ合金触媒を用いた非在来型低温反応プロセスの学理を解明・構築します。触媒表面界面における分子科学・物理化学の観点から次世代反応プロセスの開発及び最適化の指針を提示・実証し、本事業の参画企業との連携で社会実装への取り組みにも貢献します。

0405_2.png

用語解説

(1) 多元素ナノ合金:
粒径がナノメートルオーダーの固溶体の粒子であり、その固溶体が多数の元素から構成されるもの。

(2) 平衡ハイスループット合成:
研究者が多数の非平衡合成を迅速に実施することを可能にする合成手法。

(3) 材料創製インフォマティクス:
材料の分野で活用されてきたマテリアルズ・インフォマティクス、化学の分野で分子の機能や合成経路の予測を中心として展開されてきたケモインフォマティクス、工学分野において発展してきたプロセスインフォマティクスをそれぞれ高度化するとともに、それらを統合し相補的に活用するプラットフォームである。

(4) 非線形レーザー分光法:
超短パルスレーザーを対象に照射することで非線形な光学過程を誘起し、それによる分子応答を利用して分子の構造情報や運動情報を計測する。

(5) オペランド計測:
operandoはラテン語で “working”、“operating”という意味を持ち、反応中の触媒や動作中のデバイスを分光計測などによって直接観測することを指す。構造や表面状態だけでなく、生成物の定量分析も含めた複数の情報を同時に評価する手法のことで、反応解析に有効な手法である。

 

事業について

環境省 令和4年度地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業 「革新的多元素ナノ合金触媒・反応場活用による省エネ地域資源循環を実現する技術開発」

実施期間:
令和4年度~令和 11 年度(予定)

予算額:
約19億円/年(2022 年度)(予定)

事業者:
国立大学法人京都大学(代表事業者)、学校法人早稲田大学、株式会社クボタ、住友化学株式会社、株式会社フルヤ金属

共同実施者:
国立大学法人九州大学、学校法人明治大学、国立大学法人名古屋工業大学、国立大学法人信州大学、独立行政法人国立高等専門学校機構明石工業高等専門学校、公益財団法人高輝度光科学研究センター、国立大学法人大阪大学、学校法人慶應義塾大学、国立研究開発法人理化学研究所、自然科学研究機構分子科学研究所、国立大学法人高知大学、国立大学法人静岡大学、株式会社東芝

 

参画する分子研の研究代表者

杉本敏樹(すぎもととしき)
分子科学研究所 准教授
TEL:0564-55-7280 FAX:0564-55-7280
E-mail:toshiki-sugimoto_at_ims.ac.jp

 

報道担当

自然科学研究機構 分子科学研究所 研究力強化戦略室 広報担当
TEL:0564-55-7209 FAX:0564-55-7374
E-mail:press_at_ims.ac.jp

※_at_は@に変換してください。