分子科学研究所

サイト内検索

お知らせ

お知らせ詳細

2022/07/12

アウトリーチ

職場体験学習への協力(豊田市立若園中学校)(装置開発室・山本グループ)

6月9日、10日の2日間にわたり、豊田市立若園中学校の生徒さん4名が、分子科学研究所で職場体験学習を行いました。生徒さん達は、9日は、装置開発室で「はんだ付けと実験による電子回路製作体験」と題した実習を、10日は、物質分子科学研究領域の山本グループで「超伝導と有機分子を使った最先端の研究を覗いてみよう!」と題した実習を、それぞれ行いました。検温、手指消毒など、感染対策にも十分注意しました。

9日の電子回路製作体験では、「デジタルアンプ」回路の製作実習が行われました。基本事項の説明の後、「さあハンダごてを持ってみよう」とばかりに実習が始まりました。生徒さんたちはハンダ付け初体験で、初めは難しかったようですが、すぐに上達して、回路を作り上げることができました。この実習で用いている回路キットは、装置開発室で体験学習のために開発したもので、作りやすさや安全に、特に配慮した設計になっています。自分の手で作った回路を、電源、発振器、オシロスコープ等、プロ用の測定器に繋いでしっかり動作確認を行った後、実際に音楽の信号を入力して、音が聞こえることを体験しました。生徒さん達には事前に、理科の教科書を持ってきてもらうようにお願いしていました。回路の設計や工作でよく耳にする、マイクロあるいはメガなどの単位や、実習で使用したハンダ(合金)に含まれる元素について、教科書と見比べながら、普段の勉強が実際の仕事につながっていることを実感してもらいました。


「実習で製作した回路を測定器でチェック」

10日は、まず山本グループのミーティング室で「研究打ち合わせ」実習です。物理の面白さや、研究の意味、さらに研究成果とはどのようなものなのか、本物の英語論文も見ながら、研究者との「打ち合わせ」を体験しました。午後からは、実験室に場所を移して、手を動かします。まず、超伝導体を液体窒素で冷却して、磁石の上に浮かせる実験をしました。これを応用して、磁石を並べて作ったレールに沿って超伝導体が滑っていく、「小さなリニアモーターカー」作りも体験しました。また、有機分子などの物質の分離や分析に利用される「クロマトグラフィー」の実験も行いました。実験の後は再びミーティング室に戻って、生徒さん達が沢山用意してきた、いろいろな質問を、山本グループのメンバーに答えてもらいました。日々のやりがいも、大変なことも、話題に上り、研究という仕事のイメージを掴んでもらえたようです。


「クロマトグラフィーの実験」

実習の終わった帰り際に、生徒さん達の感想を聞いたところ、ものを作るのが楽しかった、という意見も、真理を探究する研究という営みに興味を持った、という意見もあり、皆さんそれぞれに、価値ある経験を持ち帰ってもらえたようです。

(豊田朋範・佐藤拓朗・片柳英樹 記)