分子科学研究所

サイト内検索

お知らせ

お知らせ詳細

2025/10/09

お知らせ

ノーベル化学賞の快挙から考える:基礎研究を支える「分子研」の共同利用

分子科学研究所(「分子研」)は、自らも最先端の研究を推進する一方で、全国の大学や研究機関に実験装置や施設を広く開放する「大学共同利用機関」としての役割を担っています。私たちは、最新鋭の装置や高度な専門技術を、全国の研究者に共同利用いただくことで、日本の基礎科学の進展に貢献しています。 さて、北川進先生がノーベル化学賞を受賞されましたが、その対象となったPCP(多孔性配位高分子)・MOF(金属有機構造体)と称される多孔性高分子は、現在では、多くの研究者が多様な機能性を求めて研究されている物質群です。まさにパイオニアともいえる先駆的な業績であり、この度のノーベル賞になったのは当然のことと思います。

北川進先生には分子科学研究所の顧問を引き受けていただいており、分子研が保有する研究設備を使った研究成果も報告する機会があります。その縁もあり、北川進研究室には、分子科学研究所機器センターの電子スピン共鳴装置の利用を頂いており、成果発表に向けて検討を進めています。京都大学にはもちろん多くの分析装置が揃っているわけですが、電子スピン共鳴装置をはじめ先端装置は測定や解析に技術を要すること、また分子研では、教員・技術スタッフが一体となって外部利用者に研究コンサルから測定支援、解析から論文作成まで支援し、一体となって研究を伴走しています。そのような大学共同利用機関である分子科学研究所のミッションをご理解頂いているものと感謝しています。

前述の通り多孔性高分子に関する北川進先生のご研究の波及効果は大きく、分子科学研究所の共同利用でも多孔性高分子に関わる多くの課題を受け入れています。その共同利用の成果はScience誌やNature Communication誌を含むインパクトが高いジャーナルにも発表されています。大学共同利用研には、第一線の研究室でも専門でない計測技術や先端計測があり、共同利用を通じて全国の研究者の支援をしています。物理・化学・生物にわたる分子科学研究には、概念を変えるような多くの可能性を秘めています。今後も分子研は、世界に資する研究を支え、成果を発信してまいります。

共同利用推進室室長
中村 敏和