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先端的なレーザー分光・量子計測で切り拓く物質表面界面における次世代分子科学
水分子・水素・水素結合・メタン、実材料表面科学・モデル単結晶表面科学、オペランド分光計測・ナノ顕微分光計測、表面界面エンジニアリング、構造・反応・相転移・量子ダイナミクス、非線形分光
固体の表面は固体の内部とは異なる構造を有しているため、物性や化学機能、量子ダイナミクス等を支配する電子の状態は表面と内部とでは全く異なったものになります。この固体表面は気相や液相にある原子・分子が固体と出会う重要な場を提供しています。原子や分子が表面に吸着して固体と相互作用する際には、気相や液相では発現しない新奇な物性や化学機能が創発されることがしばしばあります。こうした固体表面における特異な現象は、我々の身近なところでは「触媒・腐食・接着などの化学反応」や「光触媒・燃料電池・太陽電池などのエネルギー変換」において実生活とも密接に関わっています。
私たちは、水素、メタン、水分子などの身近な軽分子に興味を持ち、実用物質の不均一な表面やナノレベルで構造を規定・制御したモデル固体表面に吸着・凝集した分子集合体がどのようなメカニズムで特異的な構造物性や化学機能、量子ダイナミクスを発現させているのかを解明することを目指しています1-5)。多体の相互作用によって発現する複雑な固体表面現象を素過程のレベルから微視的に明らかにするために、赤外光や可視光に加えて紫外光やX線といった様々なエネルギー領域の光(連続光・パルスレーザー光)や電子線、走査型顕微鏡を用いた最先端の表面分光研究・物理化学研究に挑戦しています(Figs.1, 2)。また、従来の実験方法では観測自体が不可能であった"水素(水素結合ネットワーク中のプロトン)の局所構造"を可視化するための"革新的な表面顕微分光計測法"を開発することにも世界に先駆けて挑戦しています。
水分子の集合体が関与する固体表面現象は、物理学・化学・工学・生物学・地学といった広い範囲の分野において基礎・応用の両観点で極めて重要な研究対象です。私たちは、22世紀につながる人類の知見・基礎学理を構築することを目指し、このように学術的・実学的に興味深い固体表面現象をナノレベルの目線で解き明かす基礎研究を展開しています。
Fig. 1 Infrared-visible sum-frequency-generation (SFG) spectroscopy of water molecules on solid surface.
Fig. 2 Unimolecular inelastic-electron-tunneling (IET) spectroscopy of quantum rotator on solid surface.