研究テーマ
マイクロ固体フォトニクスの研究
キーワード
マイクロチップレーザー、非線形光学、マイクロドメイン、セラミックレーザー
光の波長と同程度のミクロンオーダーで物質・材料の性質を制御する事で光波を高度に操る“マイクロ固体フォトニクス”に関する研究を展開しています。マイクロドメイン制御で物質に新たな光機能が発現でき、マイクロ共振器による高コヒーレント光・高輝度光発生が望めるようになりました1-5)。そして新材料レーザーセラミックスの発掘、非線形素子の開発を含めた物質・材料研究の成果としてマイクロチップレーザーによる世界初の自動車のエンジン点火6-8)、真空紫外の波長118nm9)からコヒーレンス長に合せマイクロドメイン分極を制御する擬似位相整合(QPM)による新たな非線形素子の開発もあり波長11μmまでの中赤外4),10)、さらに波長0.1-0.8mm11),12)とTHz波からミリ波に至る広帯域な高効率波長変換などを実証してきました。そして近年、中間層を介した表面活性接合(il-SAB)に成功する事で一体型多ディスクレーザー構造が可能となり可能性が広がりました13)。この接合による分布面冷却(DFC)多ディスクまたはチップ利得媒質構造は、小型高利得構成で、高出力・高強度レーザーが望めます。一方、多数の薄板水晶を張り合わせたQPM-水晶は高耐性で有るだけで無く固体材料での真空紫外までの波長変換素子となり得ます14)。このように物質・材料を制御する手法を極める事で、モジュール化された小型集積レーザー(TILA)による極限的な高輝度固体レーザーが望め、理研と連携し卓上XFEL11),15),16)を可能とするレーザー駆動電子加速を推進させることで分子科学に新展開をもたらすだけで無く、TILAコンソーシアム17)と連携する事でイノベーション創出にも貢献できると期待しています (Fig. 1)18),19)。
Fig. 1 TILA consortium toward
“Laser Science and Innovation” by micro solid-state photonics.
参考文献
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