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物質分子科学のための新しい分光法の開発
シンクロトロン放射光、オペランド分光、X線吸収分光、X線光電子分光
現代の物質科学は高性能だけでなく安全安心などさまざまな観点から調和のとれた物質材料の創製を求められており、物質材料・素子の特性を詳細に評価・解析し、よりよい物質材料設計を行う必要があります。そのため、まさに動作中の物質材料デバイスをそのままオペランド観測する手法の開発がますます求められています。我々は、主に大型加速器から放射されるX線(シンクロトロン放射光)を用いた分光学的手法に基づいた新しい測定手法の開発とその応用に取り組んでいます。
我々は、2017年に大気圧下でのX線光電子分光測定に世界で初めて成功しました。光電子分光法は、通常高真空下での測定が必須ですが、エネルギーの大きい硬X線を用いることなどで、1気圧までの測定が可能な光電子分光装置が開発できました。これを用いて、燃料電池の動作下での状態解析により性能の失活機構や被毒の原因究明、CO2還元触媒の表面化学反応追跡などの研究を行ってきました。
現在は、放射光X線~真空紫外光を用いて、燃料電池等に利用されているプロトン輸送固体高分子電解質膜中での水分子挙動、特異な電子状態を呈する2次元薄膜、低熱膨張材料物性等の研究を行っています。
Ambient pressure hard x-ray photoelectron spectroscopic system.
(a) Apparatus installed at SPring-8 Beamline 36XU. (b) Au 4f HAXPES of Au(111) at a real ambient pressure of 105 Pa. (c) S 1s HAXPES of the anode Pt and Pt3Co electrodes of aged (fresh) and degraded polymer electrolyte fuels cells under working conditions. The Pt3Co electrode is found to be more tolerant against S than the Pt electrode. (d) Quick HAXPES measurements of the cathode Pt of the polymer electrolyte fuels cells upon abrupt change of the cathode-anode voltage from 0.4 to 1.2 V. The time resolution is 500 ms.