分子科学研究所

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演 題 「鎖間相互作用をもつ系におけるスピン・パイエルス転移」
日 時 2006年04月19日(水) 14:00
講演者 寺井章(大阪市立大学 工学研究科 電子情報系専攻)
場 所

分子研 南実験棟102号室

概 要

擬一次元系の(TMTTF)_{2}Xや(DMe-DCNQI)_{2}Mでは電荷秩序転移が起きる。
T<T_{CO}では、電荷の自由度が死んでスピンの自由度のみが生き残る。
さらに低温でスピンがどのような秩序状態をとるかは、鎖間の交換相互作用とスピン・格子結合の大きさによる。
鎖間の交換相互作用が強ければNeel状態に転移するが、スピンと格子の結合が強ければスピン・パイエルス転移が起きる。

これまでのスピン・パイエルス転移に関する研究は、平均場近似を用いたものが多かった。しかしながら擬一次元系では平均場からの揺らぎも重要である。
我々は最近Sandvikによって開発されたSSE法という量子モンテカロ法を拡張して、スピンの熱・量子揺らぎだけでなく、格子の熱揺らぎも取り込めるようにした。
この方法を用いて、鎖間に交換相互作用をもつ系におけるスピン・パイエルス系の相図を作成した。
その結果、スピン・パイエルス転移はBlume-Emery-Griffiths模型というHe_4-He_3混合系を記述するのに用いられた模型と同じユニバーサリティ・クラスに属することがわかった。
また、鎖間の交換相互作用が適当な強さであれば、リエントラント転移が見られることもわかった。