分子科学研究所

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日 時 2006年08月23日(水) 15:00 より 17:00 まで
場 所

分子研 研究棟2階 201セミナー室

概 要

【講演1】

古谷博秀
(独立行政法人産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 主任研究員)

「産総研でのレーザ着火研究」

これまでレシプロ型エンジンにおいて燃焼反応を開始するためには、スパークプラグがそうであるように強い電界を利用して電磁破壊を起こす手法と、ディーゼ ルエンジンでの燃焼噴射がそうであるように、着火温度よりも十分高いガスへの燃料の噴射による自己着火を利用した2種類の方法が主に利用されている。ス パークプラグによる着火についてはガソリンやガスを燃料とする多くのオットーサイクルエンジンで利用されているが、電界による電磁破壊を利用しているとい う原理上の理由から、熱の吸収源となる端子間の小さな隙間で火炎核が形成される。初期の圧力の立ち上がりがエンジン性能に大きく影響するオットーエンジン では、本来は燃焼反応の初期にはプラグ電極のような熱の吸収源から離れた場所で、出来るだけ大きな火炎核から火炎を開始するのが理想であることは簡単に予 測される。ここで紹介しようとするレーザ着火技術を用いれば、焦点の位置を変えることによって燃焼室の任意の位置で着火することができ、また、その火炎核 についても制御できる可能性がある。
本講演ではこれまでに産総研で行われてきたレーザ着火技術のうち、紫外光レーザを利用した着火手法を水素燃料に適応した実験結果と、近年行っているNd:YAGレーザによるガスエンジン用の着火手法について紹介する。

【講演2】
高石龍夫
(三菱重工業株式会社 長崎研究所 技監・主幹研究員)

「レーザ着火方式ガスエンジンの研究開発状況」

本公演では(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託されたエネルギー使用合理化技術戦力的開発「低品位燃料の高効率クリーンエネル ギー変換システムの研究開発:低温プラズマ改質・レーザ着火による含水素火炎利用クリーン省エネエンジンの開発」(期間:平成15年10月1日~平成18 年3月20日)で行った研究開発での成果を中心に発表を行う。本研究開発は、多くの場合未利用なまま廃棄処分されている低品位な燃料を有効に利用し、地球 環境にやさしい再生可能エネルギーによる分散型発電で省エネルギーへの貢献を目指すものである。
低品位燃料の利用においては低カロリーや成分変動のため着火・燃焼性が悪化するという課題がある。このため、ガスエンジンでの安定希薄燃焼の実現は難し く、課題解決のため水素を利用すると同時に、レーザブレイクダウンを応用した新燃焼システムの技術開発を実施した。さらに、実用化対象の低品位燃料として ランドフィルガスを取り上げ、実際上の成分変動等を考慮した模擬ガスにて含水素火炎利用レーザ着火燃焼技術の要素試験、及び本技術をエンジンに適用した一 貫システムのエンジン検証試験を実施した。本発表ではこの結果のうち、主としてレーザ着火に関する結果を中心に発表を行う。

お問合せ先

平等 拓範(分子制御レーザー開発研究センター 特殊波長レーザー開発研究部)