分子科学研究所

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分子研研究会

演 題 「真空紫外域発光の探索」
日 時 2006年11月17日(金) 13:30
概 要
日 時 2006年11月17日(金) 13:30 - 18日(土) 15:10
場 所 自然科学研究機構 岡崎コンファレンスセンター 小会議室
http://www.occ.orion.ac.jp/
プログラム・
申し込み
http://www.uvsor.ims.ac.jp/event/20061117itoken.html

 

シンクロトロン放射(SR)光という紫外からX線領域の利便性の非常に良い光源が身近なものになって既に半世紀近くが経過しようとしている。この間、SR を光源として凝縮系の様々な発光現象が調べられ、電子励起状態の緩和過程について極めて重要な知見が数多く発見されている。ところが、これらの発光現象の 測定には大きな「欠落点」が存在する。それは、せっかく凝縮系サンプルを紫外からX線領域の光で励起しても、発光そのものは可視域のものしか観測してこな かったという事実である。その理由は明白で、真空紫外域の発光を観測するには、発光観測系そのものを真空状態にする必要があるという実験上の制約のためで ある。この実験的困難を乗り越える努力をこの分野の研究者が怠ってきたといっても過言ではないであろう。勿論、そのような試みが全くなかった訳ではない。 1970年に、PooleyとRuncimanは、X線と電子線を励起源にしてアルカリハライド結晶からの発光を真空紫外域で観測している。しかし、この 方法では励起スペクトルを測定することが不可能であったため、後年オージェー・フリー発光として知られることになった重要な発見を取り逃がすという結果に 終わっている。近年、新しいタイプの高速シンチレータ材の開発の要求とあいまって、この「欠落」スペクトル領域の発光現象が注目を集めている。また真空紫 外域の発光を観測するためのCCDカメラが最近では入手可能になっている。このような研究動向・実験技術革新の背景のもとで、本研究会をもつことは極めて 時期に適ったものになると考える。

提案者:伊藤 稔(信州大学) (代表)、繁政英治(分子研)