場 所 岡崎コンファレンスセンター
主 催 分子科学研究所計算分子科学研究系・計算科学研究センター
講 師 吉澤一成教授(九州大学先導物質化学研究所)、
林重彦助教授(京都大学大学院理学研究科)、
高橋英明助教授(大阪大学大学院基礎工学研究科)
講義内容
林先生 (QM/MM法の基礎と概略)
QM/MM法はタンパク質などの巨大分子中の化学反応機構を探るための強力な手法である。本セミナーでは、その方法論の基礎、及び妥当性と限界について解説する。
吉澤先生 (QM/MM法による酵素化学反応へのアプローチ)
呼吸、代謝、神経伝達、光合成、窒素固定、生体防御など、生命の活動を支えているのは酵素反応である。巨大な分子である酵素には1個か数個の遷移金属が含まれ、重要な生体機能を司っている。
本セミナーでは、密度汎関数計算やQM/MM計算を駆使して行った酵素の活性構造と反応性について解説する。具体的には、メタンモノオキシゲナーゼ、シト クロームP450、ジオールデヒドラターゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、ヘムオキシゲナーゼ、ドーパミンβモノオキシゲナーゼについての応用例に ついて述べる。
高橋先生 (QM/MM法による溶液内自由エネルギー計算)
QM/MM法の主たる研究対象は、溶液やタンパク質をはじめとする凝縮系の化学過程である。このような系では溶媒の空間分布が時間とともに揺らぐので、反 応経路を決定するには自由エネルギーを計算することが本質的に重要である。新規な統計力学の理論とQM/MM法を組み合わせて、効率良く化学過程の自由エ ネルギー変化を計算するための方法論について解説する。
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