「量子力学的共鳴状態とそのダイナミクスII
-量子細線中の不純物準位における準安定束縛状態-」
中村浩章(核融合科学研究所)
複数チャンネルのある量子細線に吸着された不純物原子準位からのキャリアの遷移について考える。この系は、梯子型 強束縛模型とそれに吸着したひとつの離散状態からなるFriedrichs 型のハミルトニアンで記述される。梯子の鎖間相互作用を変えると2つのバンドがずれた形で重なる。不純物準位と梯子間の遷移時間は相互作用係数の二乗程度 (フェルミの黄金律)となることが知られていた。遷移時間が前述に比べて桁違いに長くなる共鳴状態(準安定束縛状態)を広いエネルギー領域で発見した。こ れは、良く知られるフォン・ノイマン=ウ イグナーの定常状態が、測度ゼロの点のみで現れるのとは著しい違いを示す。 本発表で、準安定束縛状態の実空間での固有状態、そしてその時間発展を詳しく紹介する。
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