分子科学研究所

サイト内検索

研究・研究者

研究会・セミナー

セミナー・イベント詳細

新分野創成型連携プロジェクト「非平衡物理学の新展開」

日 時 2007年06月18日(月) 14:00 より 12:00 まで
場 所

分子科学研究所 南実験棟408号室

概 要
6月18日(月)(1日目)
14:00-

「量子力学的共鳴状態とそのダイナミクスI」
羽田野直道(東京大学・生産技術研究所)

量子力学的共鳴状態は古くから知られている現象でありながら、その数学的な扱いや計算手法について未開発の部分が 多い。そこでまず、共鳴状態の基本的な性質について、新しい知見も交えながら概観する。特に、時間に依存しないシュレーディンガー方程式の固有状態として 共鳴状態を記述できることを強調する。次に、数値的な計算方法、特にダイナミクスの計算方法についての新しい方法を述べる。

15:30-

「量子力学的共鳴状態とそのダイナミクスII
-量子細線中の不純物準位における準安定束縛状態-」
中村浩章(核融合科学研究所)

複数チャンネルのある量子細線に吸着された不純物原子準位からのキャリアの遷移について考える。この系は、梯子型 強束縛模型とそれに吸着したひとつの離散状態からなるFriedrichs 型のハミルトニアンで記述される。梯子の鎖間相互作用を変えると2つのバンドがずれた形で重なる。不純物準位と梯子間の遷移時間は相互作用係数の二乗程度 (フェルミの黄金律)となることが知られていた。遷移時間が前述に比べて桁違いに長くなる共鳴状態(準安定束縛状態)を広いエネルギー領域で発見した。こ れは、良く知られるフォン・ノイマン=ウ イグナーの定常状態が、測度ゼロの点のみで現れるのとは著しい違いを示す。 本発表で、準安定束縛状態の実空間での固有状態、そしてその時間発展を詳しく紹介する。

16:50-

「量子力学的共鳴状態としての表面吸着分子の局所電子状態」
安池智一(分子科学研究所)

表面吸着分子の局所電子状態は、連続的なエネルギーバンドを持つ表面との相互作用によって量子力学的共鳴状態とな る。このような見方は、例えばAnderson-Newnsによって概念的には示されてきたことであるが、第一原理ハミルトニアンを含む任意のハミルトニ アンに対して量子力学的共鳴状態としての表面吸着分子の局所電子状態を求める処方箋は存在しなかった。我々は、吸着分子と有限個の表面原子からなるクラス ターに対して複素スケーリング法を適用することでこれを可能にし、従来のクラスターモデルの欠点を補える有用な計算モデルになることを見いだしたのでこれ を紹介する。

18:00 終了

 

6月19日(火)(2日目)
9:00-

「金属と絶縁体の界面にできる電子状態と電荷輸送」
米満賢治(分子科学研究所)

金属と絶縁体の界面を通した電荷輸送は古くから扱われている基礎的な現象である。金属とバンド絶縁体あるいは半導 体の界面の場合は、仕事関数の差により生じるショットキー障壁のため、電圧の向きにより電流量が異なるいわゆる整流作用がよく知られている。しかし、金属 とモット絶縁体の界面を通した電荷 輸送では、状況が変わってくることを1次元のモデル計算で示す。

10:30-

「固体電子の輸送方程式の非線形摂動解」
白崎良演(横浜国立大学)

半導体中の熱電効果は固体電子の準古典的な輸送方程式(ボルツマン方程式)を用いて議論され、揺動に関する一次の 摂動解による結果がよく知られている。我々は、ボルツマン方程式を揺動について高次の摂動項まで取り入れることにより、方程式の揺動についての非線形解を 求めてみる。さらに、この解を用いて輸送現象への非線形性の影響を考察することにする。

12:00- 今後に向けて

 

お問合せ先

セミナー 対応者:米満賢治
kxy@ims.ac.jp(送信時は@を半角にしてください)