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研究会・セミナー
演 題 | 「和周波発生の分子理論とその応用」 |
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日 時 | 2007年07月04日(水) 16:00 |
講演者 | 林倫年(台湾大学擬態科学研究中心) |
場 所 | 研究棟201セミナー室 |
概 要 | 二次非線形光学過程である和周波発生は、いろいろな物質表面で生じるため、パワフルで多用途な表面分光法として発展してきた。和周波発生応答を微視 的観点から理解するために、我々はこれまで、いろいろなタイプの和周波発生分光法に対して、分子理論を展開してきた。この分光理論によれば、和周波発生分 光法で観測される特有な分子の性質を明らかにすることができる。たとえば、二重共鳴赤外-紫外(可視)和周波発生分光法では、いわゆる赤外活性遷移間の干 渉を観測することが可能であり、その際、和周波発生強度には双極子モーメントの規定座標に対する微分係数のみならず、電子基底状態のポテンシャルの安定点 から見た電子励起状態のポテンシャルの安定点の規定座標に沿ったずれが含まれる。つまり、表面ある分子の電子励起状態に関する情報を得ることが可能であ る。 ところが最近、和周波発生分光法の新たな機能が実験的に示された。和周波発生分光法を応用すれば、表面に ある単分子膜のカイラル応答ばかりでなく、溶液内の分子のカイラル応答を高感度でプローブすることができる。これまでのカイラル分光法は、磁気遷移モーメ ントに依存しているため、単分子膜レベルでの高感度を期待することはほとんど不可能であった。そのため、物質表面でのカイラルドメイン形成に関する情報を 知る上で画期的な方法である。カイラル応答の分子機構を明らかにすることで、分光法として、分子に関してどのような情報が得られるのかを知ることができ る。 今回のセミナーでは、和周波発生分子理論を二重共鳴赤外-紫外(可視)和周波発生分光法とカイラル応答に関して我々の展開してきた分子理論を紹介する。 |