分子科学研究所

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分子・物質シミュレーション中核拠点形成 第37回CMS(計算分子科学)セミナー

演 題 「微生物のかたちと運動」
日 時 2008年03月13日(木) 16:00
講演者 和田浩史助教(京都大学 基礎物理学研究所)
場 所

計算科学研究センター2階 会議室

概 要

大腸菌などのバクテリアを典型例とする微生物にとって、 水中での運動のメカニズムは我々が日常経験から知る それとはまったく異なっている。

すなわち微生物のサイズおよび運動速度に対しては、 水のレイノルズ数は非常に小さく、粘性散逸と細胞の弾性 との動的結合が力学を決定している。

このような物理的拘束のもとで効率的な推進を実現するため、 微生物は多様な戦略を発展させており、それらは細胞の かたちやデザインと直接的に関わっている。近年、スピロ プラズマと呼ばれるらせん状の形をしたバクテリアの詳細な 運動が顕微鏡観測によって明らかになった。その物理的 メカニズムを力学モデルによって理解する。

スピロプラズマは細胞壁をもたず、らせんの形状を細胞骨格 によって維持しまたATPを用いて動的に変形させることで 水中での運動を実現していると考えられるきわめて例外的で かつ興味深い対象である。

講演では微生物学へのエントリーポイントとして、らせん状の 鞭毛をプロトン駆動のモーターによって回転させて進む大腸菌 やサルモネラ菌などの例をはじめとして、いくつかの興味深い 他のバクテリアの遊泳法を低レイノルズ数における流体力学の 基本事項とあわせて紹介する。

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