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演 題 | 「微生物のかたちと運動」 |
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日 時 | 2008年03月13日(木) 16:00 |
講演者 | 和田浩史助教(京都大学 基礎物理学研究所) |
場 所 | 計算科学研究センター2階 会議室 |
概 要 | 大腸菌などのバクテリアを典型例とする微生物にとって、 水中での運動のメカニズムは我々が日常経験から知る それとはまったく異なっている。 すなわち微生物のサイズおよび運動速度に対しては、 水のレイノルズ数は非常に小さく、粘性散逸と細胞の弾性 との動的結合が力学を決定している。 このような物理的拘束のもとで効率的な推進を実現するため、 微生物は多様な戦略を発展させており、それらは細胞の かたちやデザインと直接的に関わっている。近年、スピロ プラズマと呼ばれるらせん状の形をしたバクテリアの詳細な 運動が顕微鏡観測によって明らかになった。その物理的 メカニズムを力学モデルによって理解する。 スピロプラズマは細胞壁をもたず、らせんの形状を細胞骨格 によって維持しまたATPを用いて動的に変形させることで 水中での運動を実現していると考えられるきわめて例外的で かつ興味深い対象である。 講演では微生物学へのエントリーポイントとして、らせん状の 鞭毛をプロトン駆動のモーターによって回転させて進む大腸菌 やサルモネラ菌などの例をはじめとして、いくつかの興味深い 他のバクテリアの遊泳法を低レイノルズ数における流体力学の 基本事項とあわせて紹介する。 過去のCMSセミナーはこちらでご覧いただけます |