分子科学研究所

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演 題 「2次元ハバード模型の自己エネルギー汎関数法による解析」
日 時 2008年07月03日(木) 15:00
講演者 稲葉 謙介(阪大工)
場 所

分子科学研究所 南実験棟111号室

概 要

このたび有機導体κ-(ET)塩などの強相関電子系の理論研究で手法を発展しておられる阪大の稲葉さんに講演と詳細な議論をしていただくことになりましたので、ご案内申し上げます。

近年、三角格子構造を持つ強相関電子系の典型例として有機導体物質群κ-(ET)塩に注目が集まっている。フラストレーションの強い2次元強相関電子系で は、通常の磁気転移が抑制される結果、モット転移は非常に強い相関の下で生じることになる。このような系における、モット転移や磁気転移の性質を理解する ためには、「空間的な広がりを持つ電子相関効果」を取り扱う必要がある。自己エネルギー汎関数法は、クラスター型の動的平均場近似と同等の近似であり、局 所相関効果に加えて短距離相関の効果を動的に取り入れることがで きる手法である。

本講演では、自己エネルギー汎関数法を用いて、2次元ハバード模型に対して行った解析結果を紹介する。特に、異方的三角格子に焦点を あて、以下の点について議論する。

(i)κ-(ET)2Cu2(CN)3において指摘されている極低温における非磁性絶縁相の安定性
(ii)κ-(ET)2Cu[N(CN)2]Clにおいて指摘されている有限温度モット転移のリエントラント的振る舞い

お問合せ先

米満賢治(理論・計算分子科学研究領域)