プログラム
以下の時間割は当日の進行次第でずれるかもしれません。ご了承ください。 |
11:00-11:45 |
(第810回 分子研コロキウム)
米満賢治(機能分子科学専攻:分子研)
「光でものの性質をいかに変えられるか」
ものの性質(伝導性、磁性、色など)は多数の電子が量子力学的に絡み合って振舞うことで決まる。分子を積層してできる分子性物質は電子をある方向にだけ流 すことで、絡み合いの度合いや変化のしやすさを高めることができる。そのためにわずかな環境変化(温度、圧力、光照射 など)で、物性ががらっと(絶縁体から金属へ、常磁性から強磁性へなど) 変わることがある。光を照射することで、どのような変化が起きていて、それがどう理解されているかを概観する。 |
12:00-12:45 |
(第811回 分子研コロキウム)
江 東林(構造分子科学専攻:分子研)
「光を吸う分子の木」
太陽エネルギーは地球上の生態系の成り立ちに深く関連して、かけがえのない役割を果たしている。植物や光合成バクテリアは太陽光を吸収し、ニ酸化炭素と水 を原料として用いて糖類を生産している。突き詰めて考えると、これは人類活動ひいてはすべての生命が必要とするエネルギーの源となっている。もし、自然界 のような巧みな光エネルギー変換システムを人工分子で実現することができればエネルギー問題をはじめ、人類・地球が抱えている様々な難問の解決にもつなが る。この意味において、光機能性分子の設計は極めて重要な課題であり、21世紀の分子科学の中核をなすと考えられている。樹木は、太陽光の吸収に都合の良 い形態をしているが、はたして樹木のように枝分かれ 構造を有する『分子の木』は、光を捕集することができるのだろうか。
我々は化学的手法を用いて様々な『分子の木』をつくることに成功し、さらに、『分子の木』が極めてユニークな光捕集機能を有することを発見した。『分子の 木』は、光捕集アンテナとして機能し、枝の部分で獲得した光エネルギーを効率よく分子の中心部に送り込むことができる。特に、最近、可視光を用いた水の光 還元による水素発生を達成した。水素は太陽光の下でも発生し、発生効率はこれまでの例を大きく上回った。本講演では、『分子の木』を用いた光機能性材料の 開拓を中心に我々の最新の研究成果を紹介する。
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12:45-14:00 |
昼食と休憩
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14:00-14:45 |
(第812回 分子研コロキウム)
児玉忠恭(天文科学専攻:天文台)
「すばる望遠鏡が俯瞰する銀河・銀河団の形成と進化」
ハワイ島マウナ・ケア山頂にある口径8mのすばる望遠鏡は、ファーストライトを迎えてから丁度10年になろうとしています。すばるは他の8-10mクラス の望遠鏡には類をみない広視野観測が可能で、これまでにその特長を生かした、世界最先端の観測結果を次々と生み出してきました。今回、私の専門である銀河 と銀河団の形成と進化にスポットをあて、現在の知見を概説します。 |
15:00-15:45 |
(第813回 分子研コロキウム)
石黒静児(核融合科学専攻:核融研)
「シミュレーションで探るプラズマ構造形成」
多数の荷電粒子から構成される電離気体プラズマは宇宙空間から地球大気上層まで自然界に広く分布すると同時に、制御核融合を目指した実験装置、プラズマテ レビ、半導体製造装置など多くの人工的な構造物においても重要な役割を果たしている。プラズマは非線形現象の宝庫といわれるように構造形成、自己組織化な ど非常に興味深い振る舞いをする。その研究手段として、近年、スーパーコンピュータを用いたシミュレーションが重要な位置を占めるようになってきた。その 例として、 本講演ではプラズマ波相互作用に関連したプラズマ構造形成のシミュレーション研究を紹介する。 |
16:00-16:45 |
(第814回 分子研コロキウム)
後藤 健(宇宙科学専攻:宇宙航空研究開発機構)
「宇宙・航空用複合材料」
軽量で、高強度である各種複合材料はロケット、衛星、航空機の性能向上に必要な材料である。ここでは、セラミックスや炭素、プラスチックなど様々な複合材 料について取り上げる。複合材料の基礎について簡単な紹介をしたのちに使用用途およびこれらの材料の関わるJAXAやNASAにおける不具合事例などにつ いて紹介する。 |