分子科学研究所

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第820回分子研コロキウム

演 題 「分子集合体の協力現象 ―スピンクロスオーバーを例に― 」
日 時 2009年02月18日(水) 16:00
講演者 西野 正理 客員准教授 (物質・材料研究機構 計算科学センター)
場 所

研究棟201セミナー室

概 要

一般に分子集合体の性質は、個々の分子の性質ではとらえられない。相転移現象は、その典型であり、集団的性質の反映である。そこでは、協力的相互作用が重 要であり、巨視的な変化を解析するためには、秩序変数に注目した系のモデル化が必要となる。本講演では、まず、モデル化(ab-initioから粗視化モ デル)と理 論・計算シミュレーションで使われる手法(様々なアンサンブルでの分子動力学法や マスター方程式など)の例を概観する。そして、具体例としてスピンクロスオーバー(SC)転移の協力現象を取り上げる。SC現象は、環境(温度、圧力、光 など)の変化により系が低スピン状態と高スピン状態の間で遷移する現象であり、近年、特に光機能性デバイスへの応用の可能性から注目されている。理論・計 算によりエントロピー駆動転移、磁気転移、圧力誘起転移、それら転移に伴う体積変化、光誘起ヒステリシス現象など、実験で見られる特徴ある性質を示すとと もに、未知の物性の予測や環境による状態制御の方法について述べる。