分子科学研究所

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第22回光分子科学フォーラム

演 題 「フェムト秒レーザー用光学薄膜フィルター チャープミラー」
日 時 2009年06月08日(月) 15:00 より 16:00 まで
講演者 杉浦宗男氏・東海光学(株)
場 所

分子科学研究所 研究棟201セミナー室

概 要

近年フェムト秒オーダーの超短パルスレーザーの使用が可能になり、それを利用した新しい技術が生み出されている。例えばレーザー加工の分野においては、熱変性領域が無視できる加工が実証されている。つまりおよそ10-13~10-15秒という非常に短かい時間だけに光のエネルギーが集中し、熱による溶融が発生しないために可能になったことである。他にも顕微鏡や計測機器への応用がされるなど、光産業の新たな発展を担うものとして期待されている。 
このような超短パルスの特徴を充分に活かして使用するためには、そのパルスの幅をいかに短く保てるかが重要な課題になる。フェムト秒パルスはレーザーといえども1波長ではなく、多波長の光から構成されるので、物質中を伝播する際にその波長分散の影響を受けて容易に形が変化してしまう。パルスを元の形に戻すためには、物質がもつ分散と逆の分散を与える必要があり、そのためにプリズムが持つ角度分散を利用する方法や、誘電体多層膜で反射したときに位相変化が生じることを利用する方法などがある。この方法で用いられる誘電体多層膜ミラーはチャープミラーと呼ばれている。膜厚や層数など自由度が大きいので、設計しだいで広い波長帯域に渡って所望の分散特性を持つようにすることも可能である。 
セミナーではパルス変形の問題が生じる原因とその対策をする際の考え方や、N. Matuschek等[1]によるチャープミラーの設計手法を紹介し、それに基づいて行った設計例や成膜例を紹介する。
[1] N. Matuschek, F. X. Kärtner and U. Keller : IEEE J. Quantum Electron., vol. 35, pp. 129-137, (1999)

お問合せ先

大森賢治、菱川明栄(光分子科学研究領域)