分子科学研究所

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分子・物質シミュレーション中核拠点形成 第47回CMS(計算分子科学)セミナー

演 題 「拡張アンサンブル法の開発とアミロイドベータペプチドへの応用」
日 時 2009年07月15日(水) 16:30
講演者 伊藤暁(Natioal Institutes of Health)
場 所

計算科学研究センター2階 会議室

概 要

タンパク質はアミノ酸が多数連なってできた鎖状分子であり,生体内で様々な役割を担っている.タンパク質が生体内で正しく機能を果たすためには特定の構造に正しく折りたたまれなければならない.タンパク質が正しい構造に折りたたまれないことで様々な病気が引き起こされることも知られている.したがって,タンパク質の構造を調べることは大変重要であり,その方法として近年分子シミュレーションがよく用いられている.  
分子シミュレーションを用いてタンパク質の構造を調べるには十分は構造空間のサンプリングが不可欠である.しかしタンパク質には多数の自由エネルギー極小状態が存在しており,従来のカノニカルアンサンブルに基づくシミュレーションではこれらの状態に捕らわれてしまい十分な構造空間のサンプリングを実現することは困難であった.そこでエネルギー極小状態に捕らわれることなく効率的に構造空間をサンプリングするシミュレーション手法として拡張アンサンブル法が開発されている.  
本講演では幾つかの拡張アンサンブル法を紹介し,その特徴や違いについて議論する.さらに実際に拡張アンサンブル法をアルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドベータペプチドの一部へ応用した例を示す.アルツハイマー病はアミロイドベータペプチドが間違った構造に折りたたむことで引き起こされると考えられている.

お問合せ先

奥村 久士(計算科学研究センター)