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擬1次元分子性導体における電子格子相互作用系の数値的研究

日 時 2010年12月13日(月) 16:00
講演者 大塚 雄一氏(理研)
場 所

分子科学研究所 南実験棟S408号室

概 要

(DCNQI)2Xや(TMTTF)2X等の擬1次元分子性導体では電子間相互作用と電子
格子相互作用の競合または協調によって、電荷秩序(CO)・ダイマー型モット(DM)絶縁体・スピンパイエルス(SP)状態などの様々な秩序相が実現される。本講演では、1/4フィリング拡張ハバード模型にパイエルス型電子格子相互作用と鎖間の電子間相互作用を取り込んだ理論模型を数値的に調べた結果を報告する。同様の模型はこれまでに、量子転送行列法などにより調べられており、DMとCOの共存やSP転移による4量体化などが議論されている[1]。本研究では、Stochastic series expansion法と呼ばれる量子モンテカルロ法を適用し、以前の量子転送行列法では取り扱うことの難しかった低温領域の計算を行うことが可能となった。その結果、CO転移やDM転移を起こした後、さらに低温でそれぞれの電荷パターンに対応した異なるスピンパイエルス状態が存在することを確認した。得られた有限温度は格子の非調和性やdimerizationの有無により転移の性質が変わる複雑な相競合状態を示すことがわかった[2]。さらに、厳密対角化法によって計算した基底状態における相転移の結果についても議論を行う[3]。

[1] H. Seo, Y. Motome, T. Kato, JPSJ, 76, 013707 (2007).
[2] YO, H. Seo, Y. Motome, T. Kato, JPSJ, 77 113705 (2008).
[3] YO, H. Seo, Y. Motome, Physica B, 405, 317 (2010).

お問合せ先

米満賢治(理論・計算分子科学研究領域)
kxy@ims.ac.jp(@を半角にしてください)