分子科学研究所

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第827回分子研コロキウム

演 題 「動的構造科学は新しい物質科学につながるのか? Dynamical structural science can contribute to kicking off a new class of materials science ?」
日 時 2010年12月24日(金) 16:00
講演者 腰原 伸也(東京工業大学 理工学研究科 教授)
場 所

研究棟201セミナー室

概 要

「物質の構造」と「性質(物性)」の関連の解明、ならびにその研究のために用いる技術開拓は、物質科学に共通する最も基本的テーマである。しかしながら、光励起状態のような高いエネルギー状態にある凝縮系物質、ましてや動的に構造が変化したり揺らいだりしているものに関しては、技術開発に適したデモンストレーション用物質が無いこともあって、一部孤立分子を除くと「励起状態の物質
構造」と「物性」という視点での研究は、今日に至るもほとんど皆無であった。ところが昨今の大型放射光光源とパルスレーザー光の組み合わせ技術の進展、高強度超短パルスレーザーによるX線、パルス電子線発生技術の進歩、さらには高感度2次元X線、電子線検出器の導入によって、ピコ秒時間スケールはもとより、場合によってはフェムト秒スケールの構造変化を、オングストロームスケールでとらえることすら可能となってきた。我々はつい最近、動的x線観測装置を用いて、電荷移動錯体における光誘起強誘電性発現につづき、強相関電子系Mn酸化物において光励起以外では実現不可能な新しい物質相(Hidden Phase)の発見にも成功した。加えて、結晶のみならず溶液等の不規則系においても、物質系を適宜選択すれば時間分解構造解析が可能となるような技術も登場するに至っている。また動的電子線回折を用いることで、x線では困難な、有機結晶のナノ表面における動的変化の観測も可能となりつつある。
以上の背景に基づき本講演では、時間分解構造解析技術の動向ならびにその物質科学的意味合いを実例に基づきながら解説する。

その他

■担当
2010年度コロキウム委員
信定克幸、鈴木敏泰

お問合せ先

信定克幸(理論・計算分子科学研究領域)